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半導体とAIだけで国家は豊かになれない、経済構造が似通う日韓は「成長の果実を社会に広げる」課題に取り組むべきだ

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日韓首脳会談では米中の動きをにらみ両国関係を一段と強化したいとの意向を表明した(写真:2026 Bloomberg Finance LP)
  • 李 燦雨 日本経済研究センター 特任研究員 
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日韓両国は、まったく同じ「構造的宿題」を突きつけられている。「戦略産業国家」としての生存競争に取り組む中で、その成長の果実を社会の基盤である内需と家計全体の底上げにどう結びつけるか、という難問である。

どれほど技術覇権競争に勝利しようとも、それが実質賃金の向上や安定的な雇用、そして日々の暮らしの確かな安心感へと還元されなければ、残されるのは社会的な不平等と消費の冷え込みであり、国民の疲弊だけが固定化される結果に終わる。

日韓官民経済戦略対話の常設が必要だ

したがって、今後の日韓協力は、従来の物理的なサプライチェーンの融通にとどまるべきではない。経済安全保障と国民生活の安定を両立させる「包括的ガバナンス能力の共同強化」へと次元を高めていく必要がある。半導体やAI、バッテリーといった産業協力にとどまらず、先端人材の共同育成、国内投資への還流促進、さらにはエネルギー安保と直結した生活物資の安定確保に向けた強固な制度設計が求められる。


とりわけ、成長の果実を実質的な豊かさとして生活者へ「還元」するプロセスにおいて、日韓が政策知を共有し、協調を深化させるべき領域は広い。急速なAIシフトや激甚化する供給網再編の摩擦から市民を保護するための「社会的安全網(セーフティネット)」の再構築、大国間秩序の揺らぎに左右されにくい自立的な「地域基盤の循環型経済」の育成、そして最先端イノベーションの奔流から取り残されがちな「中小企業・小規模事業者のエンパワーメント(活力向上と持続可能性の確保)」などがその中核をなす。

これらは単なる国内の社会・中小企業政策にとどまらない。経済の二極化がもたらす致命的な歪みを未然に防ぎ、民主主義国家としての「社会統合と安定」を維持するための、日韓共通の極めて戦略的な生存領域なのである。

その実践的な足がかりとして、両国の政府、産業界、民間知識人が恒常的に集う「日韓官民経済戦略対話」の常設化をここに提唱したい。

これからの世界で競われるべきは、GDPの数字や株価の高さといった「量」の比較ではない。富を社会全体へつなぎ止める、成長の「連結力」の勝負である。半導体やAIがもたらす果実、株価の上昇や企業の巨額利潤を、決して金融・資産市場の内部だけで自己完結させてはならない。

それが適正な実質賃金の上昇を生み、国内投資の活発化を促し、人々の生活の実感としての豊かさにつながって初めて、国家の「ガバナンス」は成功したと言える。

戦略産業の果実を、摩擦や対立の後に事後分配するのではなく、制度化された対話と合意の枠組みの中で、持続可能な形で国民経済へ流し込んでいくこと。この分配と還流の仕組みを日韓両国が協働してデザインすることこそが、この「高い壁と低い橋」の時代を生き抜くための、最も本質的かつ喫緊の課題なのである。

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