2024年から2025年にかけては、「EDO IT!」というスローガンと、浅草地区の情景を浮世絵風に描いたキービジュアルを使い、観光マナー啓発を実施した。浅草地域の観光案内所や観光バスの降車場、宿泊施設などで持ち帰り用のゴミ袋を配布。また、江戸を思わせるコスチュームを着た巡回スタッフが移動式ゴミ箱を持って巡回し、ポイ捨て防止を呼びかけた。
「『EDO IT!』は、来街者に観光マナーを知っていただく機会になっただけでなく、区民参加型の取り組みや、事業者による主体的な啓発活動にも繋がりました」(弓良氏)
観光客の数だけに注目するのではなく、観光地としての持続可能性を目指す取り組みは、他にもある。
沖縄県八重山郡竹富町は、西表島や小浜島などからなる人口約4000人の町だ。そこに年間100万〜120万人の観光客が訪れ、公衆トイレの不足やゴミ処理の負担が問題となってきた(※10)。
豊かな自然を守るため、2025年3月から西表島の5つのフィールドで利用人数制限がはじまり(※11)、6月には町議会で訪問税条例が可決された(※12)。一方で町は、地域住民の暮らしに配慮した「責任ある観光(レスポンシブル・ツーリズム)」を呼びかけ、観光客の満足度と地域の暮らしの両立を目指している(※13)。
観光客を"短期滞在の市民"と考える
住民の生活と観光産業を両立させるヒントとなる考え方もある。「コミュニティベースド・ツーリズム」だ。前出の井門氏は、こう説明する。
「コミュニティベースド・ツーリズムは、迎え入れる側の視点を表す言葉です。主人公は地域の人々であり、旅行者はその地域の習慣やルールを理解したうえで滞在する。
デンマークのコペンハーゲンでは、観光客に『旅行者ではなく短期滞在の市民としてルールに沿って振る舞ってほしい』『市民が嫌がることはしない』『できればコペンハーゲンのライフスタイルを持ち帰ってほしい』と呼びかけています」(井門氏)
増え続ける観光客にどう向き合うかは、地域によって答えが異なる。それでも井門氏は「観光客とコミュニティが互いに歩み寄る必要がある」と語る。
観光客を、ただ管理する対象としてではなく、街にしばらく暮らす“短期の隣人”として迎えられるか。その姿勢こそが、これからの観光地の持続可能性を左右することになりそうだ。
https://unwto-ap.org/document/unwtopublicationsjp/
https://painusima.com/visitor-guidelines/
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-4326011.html
https://taketomi-shimajikan.okinawa/responsible-tourism
