つまり、端的に言うと、ツッコミどころの多い人物なのだ。SNSをはじめとするネットカルチャーでは、「露骨すぎないツッコミやすさ」が、拡散するか否かの大きなポイントになっている。
さりげない、けれど無意識ではない。まさに“粋”と言える自然なボケは、気付いた側をニヤリとさせる。そして「オレは気付いたぞ」と投稿し、人々と共有したくなる。そうした起爆剤的な役割として、山口さんの存在は大きいのではないだろうか。
ネットカルチャーとの親和性が高いのは、山口さんだけではない。バンドとしてのサカナクションもまた、SNSに話題を提供してきた。例えば、2015年9月リリースの「新宝島」のMVは、ニコニコ動画などで話題となり、数々のMAD動画(2次創作によるオモシロ動画)を生んでいる。もちろん著作権などの観点から、これらの作品を擁護することは難しいが、ひとつのカルチャーを育んでいることは確かだ。
「新宝島」MVに見るドリフへのオマージュ
面白いのは「新宝島」のMV自体が伝説的コント番組「ドリフ大爆笑」(フジテレビ)のオマージュとなっている点だ。「ザ・ドリフターズ」の面々になぞらえたメンバーたちが、セット一面に作られた階段を下っていく。そして、スクールメイツだとしか思えないダンサーが、メンバーを鼓舞する。
筆者は30代だが、幼少期に見た「ドリフ大爆笑」のエンディングは記憶に残っている。おそらく知らない世代でも、なにかしらのノスタルジーを感じることだろう。そこに、ネットと親和性の高いツッコミどころが生まれる。
