加えて、エサ場に野生動物が密集すると、フンや唾液を介して感染症や寄生虫が広がりやすくなり、人やぺットに感染する病気のリスクが高まるという問題も忘れてはなりません。
限られたエサをめぐる争いでケガをしたり、慢性的なストレス状態となり、野生動物の免疫力低下や体調悪化につながります。
実は、筆者も身近な公園で、安易なエサやりに遭遇したことがあります。
愛犬の散歩でたびたび通る場所なのですが、毎回同じ場所に大量の焼きそばがまかれていました。麺だけでなく、豚肉やキャベツ、ニンジン、ピーマン、タマネギ、カツオ節などが見て取れました。周辺には多くのハエが集まり、不衛生な状態です。
ある日、それを食べている2匹の野生のタヌキに遭遇しました。雑食であるタヌキは、何でも口にしてしまいます。しかし、濃いソースで味付けされた焼きそばが、タヌキに悪影響であることは間違いありません。
筆者は公園の管理事務所に連絡し、「エサやり禁止」の立札を設置してもらいました。それ以降は、焼きそばがまかれることはなくなりましたが、監視の目も必要だと考え、現在もかかさずチェックを続けています。
動物愛護の観点からできること
野生動物との関わり方として、基本となるのは「直接エサを与えない」ことです。
かわいさを感じたときは、エサを与えるのではなく、「そっと観察する」「写真を撮る」といった距離を保った関わり方が推奨されています。無理に近づいたり、触ったりしないこと。
動物愛護の心は大切ですが、自然のまま静かに見守ることが、結果的に野生動物と人の両方を守るとされています。
同時に、キャンプやBBQなどを行った際には、公園や河川敷などで出た食べ残しやゴミは必ず持ち帰り、「意図しない餌付け」を防ぐ意識も必要でしょう。もしエサをあげたくなったときは、「本当にその動物のためになっているのだろうか」と、一度立ち止まって考えてみることも大切です。
自分の家の周辺で同じことを他人にされたらどう感じるかを、自問自答しましょう。自治体のルールや注意喚起に反していないか確認するだけでも、見え方は変わってきます。
今回の書類送検は、「悪質なエサやりは違法行為として扱われる可能性がある」というメッセージを社会に示した出来事とも言えます。
多くの自治体では、ホームページで「トラブル相談窓口」を設けています。身近で気になることがあれば、まずは自治体に相談してみることが、問題解決の現実的な一歩になるのかもしれません。
