だんだん「わからないことがあったら、マサヤに聞け」という雰囲気ができ、信頼され始めたのを感じました。
サシャ・リーターが「シャルケの試合に行くけど一緒に来る?」「ボルフスブルクの試合は?」という感じで誘ってくれるようになりました。
サーシャ社長の金言
フォルカー会長の「自分で考えて動け」という方針に加えて、もう一つ大きかったのがサーシャ社長からのアドバイスです。
入社から約3カ月が経ったある日、サーシャ社長から呼び出されました。
「会社にいても何も生まれないぞ」
僕は相変わらず毎日出社し、事務作業をしたり映像を見たり、必死で働いていました。ただ、そのままでは発展性がないことは明らかでした。
代理人にとって重要なのは鮮度の高い情報やネットワークですが、会社にずっといたらどちらも手に入れられません。
太っ腹なことに「スポーツ360」は出張経費をすべて払ってくれます。事前の承認は必要ありません。自家用車も支給されています。
サーシャ社長の言葉を受け、「このままいてもダメだ、行動しよう」と思い立ち、ヨーロッパを飛び回る決心をしました。
その一つが塩貝健人選手が参加したU-18日本代表のスペイン遠征でした。
2023年11月にU-18日本代表はスペインのマルベーリャを訪れ、U-18メキシコ代表、U-18イングランド代表、U-18ルーマニア代表と親善試合を行いました。
やはり現場に行くと、いろいろな出会いがあります。
知り合いのスカウトがクラブ関係者を紹介してくれたり、日本に興味のある関係者が話しかけてくれたり。人脈が一気に広がります。
何より選手のプレーを生でチェックできます。
当時、慶應大学1年生だった塩貝選手はU-18イングランド戦で2点を決め、大きなインパクトを残しました。
このときの印象があったからこそ、約9カ月後にドイツのクラブから塩貝選手へのオファーを相談されたとき、「他クラブも興味を持つはず」とひらめいたのです。
その結果、NECナイメヘンのオファーを引き出せました。
マルベーリャへ行っていなければ、塩貝選手と代理人契約はできていなかったでしょう。
「人に指図されていたら、いい仕事なんかできない」
「会社にいても何も生まれない」
ふと言われた些細な一言が心に刺さり、それが自分を突き動かしてくれているのです。

