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フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が今日5月26日、国賓として来日する。皇居での歓迎式典、天皇や高市早苗首相との会談などが予定され、日本政府は大勲位菊花大綬章を贈る。生存者に対する勲章としては実質的に最高位にあたる。
国賓として招待されるのは、昨年3月のルラ・ブラジル大統領以来だ。その前は2019年5月のトランプ米大統領までさかのぼる。王室関係を除けば数年に一度しかない外国政治指導者への厚遇である。
当のマルコス氏はいま、大統領就任4年目にして最大の危機のなかにいる。自ら招いた政治的な混乱の収束を見通せないうえ、経済の落ち込みは、勢いを増すインフレとあわせてスタグフレーションの様相を呈している。任期は余すところ2年。レイムダック状態にあるマルコス氏を、日本政府はなぜ最高のおもてなしで遇するのか。
国賓招待の政治トップは過去10年で3人だけ
日本政府が外国要人を接遇する際には「招聘様式」のランクがある。国賓を頂点に公賓、公式実務訪問賓客、実務訪問賓客、外務省賓客の順だ。国賓の場合、宮中晩餐会などの歓迎行事があり、迎賓館での宿泊が原則だ。
フィリピンからの国賓来日は11年前の15年6月のノイノイ・アキノ大統領以来だが、その後、これまでに国賓で来日したのはベルギーとスペインの国王やルクセンブルク大公といった王室関係者、シンガポールの大統領、ベトナムの国家主席、先述のトランプ、ルラ両大統領と7人にすぎない。政治上のトップはトランプ、ルラ両氏だけである。
マルコス氏は大統領就任8カ月後の23年2月、実務訪問賓客として招待され、来日したほか、昨年6月にも大阪・関西万博を現地視察している。
マルコス氏を国賓として重ねて招く事情の一端が5月6日、フィリピン・ルソン島北部の海岸で垣間見えた。
厚遇の背景に日本政府の安全保障上の思惑
小泉進次郎防衛相が同日、マルコス氏の出身地である北イロコス州でアメリカ・フィリピン主催の大規模演習「バリカタン」を視察した。今年から正式参加した日本の自衛隊が88式地対艦誘導弾を実射し、約75キロ離れた標的の廃船に命中するさまを小泉氏とともに見たテオドロ比国防相はこのミサイル導入に強い関心を示したという。実弾演習は結果的に、武器販促デモンストレーションの役目を果たすことにもなった。
前日の5月5日、小泉・テオドロ会談では、退役予定の海上自衛隊「あぶくま」型護衛艦の輸出に向けて協議に入ることが決まった。
高市政権は4月、武器輸出を規制する防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、輸出の目的を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限っていた「5類型」を撤廃して殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁したばかりだ。
テオドロ氏は「あぶくま型」の取得を目指すと明言しており、原則改定後初の輸出案件となる可能性は高い。
フィリピンはほかにも海上自衛隊の練習用飛行機TC90や陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾(中SAM)などの取得も検討しているとされる。
日本とフィリピンは、それぞれ東シナ海と南シナ海で中国の脅威にさらされている。いずれもアメリカを唯一の同盟国とする共通点もある。
国軍の近代化を進めたいが資金の足りないフィリピンは日本の中古の装備に関心が強い。日本から長年にわたり、さまざまな分野で政府開発援助(ODA)の提供を受けており、国民感情も現在は親日的である。その日本からの武器受け入れへの抵抗感は薄い。
「国論を二分する政策」である武器輸出解禁の「成果」を見せたい高市政権とは、平仄(ひょうそく)が合うのだ。
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【安倍政権下で進んだ日比安保協力】
