お客さんの「月曜日の朝」に飛び込んでみよう
名優ロバート・デ・ニーロは、映画の役づくりのために実際にタクシー免許を取り、レディ・ガガは9カ月間ずっと役になりきって生活したといいます。それは、単にセリフを言うだけでなく、その人物が「どんな環境で生き、何に悩み、どう笑うのか」を、自分の体で理解したかったからです。ビジネスにおけるターゲット設定も、これと同じです。
「30代・男性・会社員」といった属性データだけを眺めていても、その人の生活にある現実は見つかりません。デ・ニーロがタクシーを走らせ、ガガが役になり切って生活をしたように、私たちも「相手の日常」に飛び込んでみることが大切です。その人は、月曜日の朝にどんな気分でベッドから起き上がるのか。仕事帰りのコンビニで、つい手に取ってしまうものは何か……。
この日常のワンシーンを観察することで大ヒットを記録したのが、アサヒ飲料の缶コーヒー「ワンダモーニングショット」です。それまで缶コーヒーは、一息ついたり、くつろいだりするときに飲むものとして開発されていました。確かにそれは間違いではありませんでしたが、調査を進めると、サラリーマンたちが朝のコーヒーを「よし、働くぞ」と気合のスイッチを入れるために飲んでいることがわかりました。求められているのは癒やしではなく、眠気を飛ばしてシャキッとすることだったのです。

