AIによって消滅する職業としてたびたび話題に上がり、業界に暗雲が立ち込める中、打開策を模索する動きも加速している。辻・本郷税理士法人など業界を牽引する17の税理士法人がタッグを組み、24年12月に会計事務所連携協議会(会計連)を設立。
26年6月には参加事務所が60社へと拡大する見通しだ。テクノロジーの急速な進展や人材不足といった課題に対し、業界全体が連携して解決策を探るのが狙いだ。IT・DXの領域でも共同研究を進め、業務効率化やAI活用のナレッジを業界全体で蓄積する取り組みを進める。
AIは脅威?
会計連の松本崇宏理事は「AIは脅威ではなく、役割を進化させるチャンスだ。AIによって仕事が減るというよりも、求められる役割そのものが変わっていく。税理士事務所が単なる試算表や決算書の作成代行にとどまるのではなく、その数字を活かして経営者に寄り添うパートナーへと進化していくことが重要になっていく」と強調する。
テクノロジーによる変化は今回が初めてではない。そろばんから電卓、パソコン、電子申告、クラウド会計と段階的に進化してきた。そのたびに業務そのものがなくなるのではなく、新技術を使いこなすことで役割が進化してきた歴史がある。
松本氏は業界の行方をこう見通す。
「AIなどのテクノロジーを使いこなして効率的に運営する1人事務所という選択肢もある。一方、テクノロジー対応が難しい小規模事務所では大規模事務所の傘下に入る。この二極化が進んでいく。
大規模事務所では、テクノロジーで作業面を効率化できるだけでなく、集客面でもウェブマーケティングを使い、採用面でも資金を投下できる。東京の大規模事務所の進出が増えれば、地方の勢力図の均衡が崩れることもありうる。
この流れは業界の淘汰というよりも、時代に合わせた再編であり、より持続可能で競争力のある業界構造へと進化していくプロセスだと考えている」
AIの波が押し寄せる中、中小規模の税理士事務所は岐路に立たされている。AIを武器にした1人事務所、M&Aで規模を拡大する大手事務所、そして特定領域に特化した専門型事務所へ。業界の構造転換は、AIエージェントの誕生により急速に進みだした。
