とはいえ、アメリカでも例外はあります。株と債券が同時に売られた局面があり、背景をたどると、海外勢(中国など)による米国債の売却が一因とされたこともありました。
つまり、どんな市場でも「理論どおりに値動きをしない」事態は起こり得ます。理論の働きと限界を理解しておくこと自体が、リスク管理になるのです。
銘柄を増やしてもリスク回避した"つもり"になるだけ
リスク回避で大切なのは、投資先を増やすこと以上に、資産の動き方の違いを利用することです。
したがって、「個別銘柄をたくさん持てば安心」と考えるのは危険です。「30銘柄に分散すればリスクが減る」という考え方がどれほど早計かが見えてきます。自分で銘柄を選ぶ時点で、「作為」が入るからです。
「株式にしか投資していないけれど、複数の企業に投資しているので、分散の効果が期待できる」と考えている人もいます。ですが、どれも「株式」という同じ種類の投資であり、株式市場全体が暴落してしまった場合、大きなリスクを背負いかねません。
人はどうしても、自分の好きな会社や業種に偏ります。すると、値動きの似た銘柄ばかりを集めてしまい、分散の効果が薄くなります。
たとえば、トヨタ自動車と日産自動車のような同業の株は、値動きの方向が似やすい傾向があります。それは自動車産業全体の業績や為替、原材料価格など、共通の要因で動くためです。動きが似ている資産同士では、分散の効果はあまり期待できません。
資産配分の場合は、そもそも選択肢が限られています。国内株式、国内債券、海外株式、海外債券など、大きな区分で組み合わせるため、個別銘柄を選ぶほどの偏りは生まれにくい。ですから、銘柄数を増やすことよりも、「性質の異なる資産をどう組み合わせるか」を考えることのほうが、はるかに重要です。
リスク回避の本質は、投資先の数の多さではなく、動きの違いにあります。動きの違いがどんな場面で効果を発揮するのかを理解しておくこと。これが、投資で大きな失敗を避けるための手がかりになります。
ですが、積立額を増やすか減らすか、どのタイミングで調整すればいいのか……。こうした「さじ加減」がわからないと悩む人は多いものです。
