高速道路を走行していると、地域によっては「動物注意」の標識が頻繁に現れる。標識に描かれる動物の種類もさまざまで、タヌキ、イノシシ、サルなどのほか、秋田県ではカモシカ、北海道ではキタキツネの標識も見かける。
高速道路ではないが、世界自然遺産の奄美大島の内陸部では、特別天然記念物のアマミノクロウサギの標識まである。
注意喚起が行われているのは、実際にクルマと野生動物との接触事故が絶えないからだ。
5月10日にも、福島県の磐越道下り線で、走行中の乗用車が道路を横断してきた体長1mほどのクマと衝突し、さらに後続車4台がそのクマに乗り上げるという事故があった。 乗車していた人間の側にけがはなかったが、クマは命を落とした。
ロードキルは年間5万件、首都高でも500件
国土交通省の資料に「高速道路会社の落下物処理件数」というデータがある。2024年度には29.2万件の「落下物」があり、うち5.1万件が動物で、「ロードキル処理件数」という名目でカウントされている。
「ロードキル」とは、文字通り道路上で起こる野生動物の死亡事故を指す用語だ。
動物の大きさによる内訳も公表されており、NEXCO東・中・西日本の3社と本四高速、首都高、阪神高速の6社の合計で、中型動物(タヌキ、キツネ、ネコ、イヌ)が2万6070件で一番多く、次に小型動物(鳥類ほか)が2万2930件、シカ、クマ、イノシシなどの大型動物はひと桁少なく2100件となっている。
先の磐越道で命を落としたクマも、26年度の統計にカウントされるだろう。それにしても、ロードキルがほとんどなさそうな首都高でも年間およそ500件のロードキルがあるとは驚きである。
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【野生動物用の道路横断施設を作る動き】
