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クルマと動物の衝突「ロードキル」で考える人間と野生動物が共生する「高速道路」の対応策

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「動物注意」の標識の裏には年間5万件ものロードキル発生の事実がある(筆者撮影)
  • 佐滝 剛弘 みらい観光文化リサーチベース代表 元・城西国際大学教授
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小動物であれば乗用車側に大きな影響はないだろうが、大型動物の場合はクルマが大きなダメージを受ける場合もあるし、飛び出してきた動物を避けようと、とっさにハンドルを切って事故を起こすなど、人間側にも被害が生じる可能性があり、だからこそ動物注意の標識が設置されているのである。

北海道の一般道で見たキタキツネが描かれた標識(筆者撮影)

こうした被害を少しでも減らすため、全国各地で高速道路をまたぐ跨線橋や道路をくぐるトンネルなど、野生動物用の道路横断施設が設けられるようになった。

これは事故を防ぐ目的だけでなく、高速道路が動物の生息域を分断してしまうのを防ぐ目的もある。希少動物の場合、生息域が分断されると近親交配が進み、種の維持に黄信号が灯ることになりかねないからだ。

サル専用の橋やカモシカやカメのための通路も

大分道には、野生猿の生息地として知られる高崎山の直下を通るルートに、サル用の跨線橋がある。長さ40m、幅1mの橋はサル専用で、道路側から見える側面にもサルのイラストが描かれているので、ドライバーも特別な橋だと気づくことができる。

ほかにもカモシカやカメのための通路が高速道路や一般道に設けられている。

秋田道にはニホンカモシカが描かれた「動物注意」の標識が(筆者撮影)

そんな中、いま世界最大級の動物専用橋の建設が進んでいる。アメリカ・ロサンゼルス郊外、高速道路101号線をまたぐオーバーパス「Wallis Annenberg Wildlife Crossing(ウォリス・アネンバーグ野生生物横断橋)」である。

101号線は、アメリカでも最も交通量が多いハイウェイのひとつで、片側5車線あり、1日に平均30万台もの通行がある。

周囲は野生動物の宝庫で、コヨーテ、ボブキャット、そしてピューマなどが生息しているが、特にピューマは生息域が道路で分断されたこともあり、数が減って近親交配が進み、絶滅の危機にあると言われている。

そこで今からおよそ10年前にオーバーパスの建設が発表された。

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【ようやく今年中に完成へ!】

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