これは、私たちにとって「脳の拡張」です。これまで脳のリソース(メモリ)の半分以上を占めていた「情報の整理・記憶」という負荷を、外部のディスクに預けられるようになったのです。
この変化を前にして、まだ「自分で資料を読み込み、自分でまとめること」に価値があると思い込んでいるとしたら、それは印刷機の前で「手書きの美学」を説いているのと同じです。
これからの役割は「AIへの的確な指示だし」
ここで、不安になった方もいるかもしれません。「私はこれまで事務処理や調整で評価されてきた。その武器がなくなったら、どうすればいいのか」と。
正直に申し上げます。もしあなたが、そのスキルをこれからも「社内調整」や「上司への言い訳」のためだけに使おうとするなら、あなたの価値はゼロになります。AIのほうがはるかにうまく、速く、文句を言わずにそれをこなすからです。
しかし、絶望する必要はありません。あなたの持っている「スキル(構造化する力)」そのものは、捨てずにそのまま「転用」が可能だからです。
これまで膨大な資料を整理し、論理的な報告書を作ってきたあなたの「構造化する力」は、実はAIを動かすために最も必要な基礎体力です。AIは、指示が曖昧だと動きません。「コンテクスト(前提・文脈)」を論理的に整理して渡せる人だけが、AIから最高の回答を引き出せます。
重要なのは、その「矛先」を変えることです。これまで「社内の人間」を納得させるために使っていたその論理構成力を、これからは「AI」という超優秀な部下を動かすための「指示出し」に全振りするのです。「内向きの調整」に使えば老害ですが、「AIへの指示」に使えば最強の司令塔になれる。
スキルを捨てるのではありません。スキルの投資先を180度変える覚悟を持つ。それだけが、かつて事務処理の達人だったあなたが、AI時代を生き残るための第一歩です。そして、AIへの的確な指示出しができるようになったその先に、あなたの本来の仕事が待っています。

