冒頭の採用担当者が三橋さんに「どうして辞めるの? いったい何が不満なの?」と尋ねました。すると三橋さんは、「いえ、まったく不満はありません」という意外な返事でした。そして、新人らしからぬ落ち着いた口調で、その理由を説明しました。
「研修を通して、やっぱり金融ビジネスって興味深いと思いました。このまま当社でキャリアを深めるのもよさそうですが、会計系のコンサルタントという立場で上流から金融ビジネスに携わるほうがよいかなと思い、思い切って転職することにしました」
早期離職と言えば、まず指摘されるのが、「ミスマッチ」。つまり、担当業務・働き方・勤務地などが本人の希望とマッチしないのが、早期離職の最大の原因だとされます。しかし三橋さんの場合、ミスマッチの事実はなく、もっとマッチする勤務先を求めて転職する「よりマッチ」と言えます。
さすがに「よりマッチ」は珍しいが
最近の新入社員の間では、三橋さんのような「よりマッチ」の離職が増えているのでしょうか。離職する新人・若手の特徴に変化はあるのでしょうか。
今回、大手企業の人事部門関係者42名にヒアリング調査をしました。多くが「よりマッチが増えているという事実はない」「当社では見当たらない」と答えていました。
「わが社でも近年早期離職が増えていますが、大半はミスマッチか人間関係のトラブルによるもので、特徴はあまり変わっていません。昔も今も入社した時点、あるいは内定を出した時点で『こいつはちょっとヤバいかも』という新入社員が、順当に離職しています」(小売り)
「国家公務員試験を受験するためとか、家業を継ぐためといった理由で離職するケースがたまにあります。ただ新入社員の場合、そういった直接の理由の背景には、たいていミスマッチがあります。今のところ当社では、キャリアアップを目指して早期離職するという新入社員はいません」(エネルギー)
次ページが続きます:
【見切りをつけるのが早くなり】
