車内アテンダントの制服は世界的デザイナーのコシノジュンコ氏が手がけた。
コシノ氏は南海の営業エリアである岸和田出身。「こういう仕事ができる幸せをつくづく感じております。観光列車に最も必要なのはスタッフの方々の立ち振る舞い方。観光列車の車内ではスタッフ1人ひとりが生き生きと働いている。それを表現できたらと思いデザインしました」と、コシノ氏が式典の席上で述べた。
揺れる電車の中で仕事をするため、動きやすさにこだわり、タイトでスポーティーなデザインにした。「これを着たいからこの仕事に携わりたいとなっていただければいいなと思います」。
グラン天空の車両デザインは世界的デザイナーの目にはどう映ったか。こんな質問をコシノ氏に投げかけると、「クラシックで伝統のある高野山にこんなモダンな列車が行くのは、明るい未来を感じさせる」という答えが返ってきた。
電車のデザインをしてみたいですかと尋ねると、「これから、やります。乞うご期待」。コシノ氏がニヤリと笑った。南海の広報担当者は「具体的な計画があるとは聞いていません」。単なるリップサービスなのか、それともほかの鉄道会社でプロジェクトがあるのか。ちょっと楽しみになってきた。
高野山の「オーバーツーリズム」
ここまでは車両の特徴について述べてきたが、では、車両やサービスはなぜこのような形になったのか。高野山や南海電鉄を取り巻く状況を見ていくと、その理由が見えてくる。
高野山は約1200年前に弘法大師空海が開いた真言密教の聖地。観光地としての人気も高く、2024年度には141.8万人もの観光客がこの地を訪れた。一方で、高野山がある和歌山県伊都郡高野町の人口は2600人にすぎない。これがオーバーツーリズム(観光公害)という問題を引き起こしている。
極楽橋駅と高野山駅をつなぐ高野山ケーブルカーの2024年度利用者数は27.7万人。ということはそれ以外の114.1万人がマイカーや観光バスで高野山にやってくる。
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【各駅停車と「宿坊」を好む欧米人客】
