ふつうに考えれば、話を聞きながらメモを取る姿勢は「熱心さの表れ」として歓迎されるはず。実際、優れた経営者やリーダーの多くは、自身も筋金入りのメモ魔だったりします。
ではなぜ、この社長は怒ったのでしょうか。
おそらく相手が「メモ嫌い」だったわけではありません。メモを取る側の”姿勢”が機械的に見えてしまったのではないかと考えます。
想像してみてください。コミュニケーションのなかで信頼関係を深めようと、熱い想いや自分の本音、あるいはここだけの話を語っているとき、目の前の相手が下を向いて無心にペンを走らせていたらどう感じるでしょうか。
「本当に私の話を聞いているのか」
「この話はなるべく記録に残してほしくない」
このように、不快感を覚えるのはごく自然なことです。
「とりあえずメモしておけばよいだろう」という、書くことで自分が安心するための”自己満足”のメモは、相手の立場や場の空気を読めていない、自己中心的な振る舞いに映ります。
「すごく勉強になります。少しメモを取らせていただいてもいいですか?」
たったこの一言、相手への小さな配慮ができるかどうか。それが、ビジネスにおける一流と三流を分けるのです。
メモは「勉強になったこと」を書くためだけのものではない
もちろん、メモを取ること自体は大切なスキルです。人は忘れる生き物。聞いたことすべてを記憶しておくのはどう考えても無理があります。
教わった業務の手順や、お客さまからの要望など、忘れてはいけないことを「第二の脳」として書き留めて、自分の血肉にしていく姿勢は、成長の土台になります。
