誕生6年のベンチャーは、アップルの牙城を崩すことができるのか。
スマートフォンなどデジタル製品を手がけるNothing(ナッシング)が日本市場での攻勢を強めようとしている。5月8日にはスマホの最新機種「Phone(4a)」と「Phone (4a)Pro」のオンライン販売を開始、従来ナッシング製品を扱っていた楽天モバイルがProを販売するほか、今回新たにKDDI(au)が4aを取り扱う(店舗販売は15日から)。
年内には東京に、ナッシング初の直営店もオープンする予定だ。
「成長とは単なる規模の話ではなく、新しいカルチャーを作ることだ。それには日本以上に適した場所はない」
販売開始に先立つ4月15日に行われた新機種の発表会の冒頭、ナッシングのチーフ・ブランド・オフィサー(CBO)チャーリー・スミス氏はそう語ったうえで、「今日は単なる新製品を発表するだけの日ではない。日本市場へのコミットメントを倍増し、人々が本当につながれる何かを築き上げる日だ」と宣言した。
利用者の平均年齢は26歳
iPhoneがシェア5割を堅持する「アップル大国」として知られる日本。グローバルではアップルとデットヒートを繰り広げる韓国サムスン電子や中国大手でさえ苦戦している。ましてや、新興ブランドにとって難しい挑戦であることは間違いない。
そんな市場でナッシングが狙うのは若者ユーザーだ。日本で2022年からナッシングを独占で取り扱ってきた楽天モバイルでは、「他メーカーに比べて圧倒的に若年層を取り込めたと評価されている」(関係者)。
実際、発表会の後に開かれた新機種の即売会とファン向けのイベントには開場前から20〜30代と思わしきファンによる長い列ができていた。新製品が並べられた会場は華やかでスマホというよりは、アパレルの展示会のようだった。
世界的に見ても、ナッシングは若者ユーザーに浸透している。創業者のカール・ペイ氏は昨年、アメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』に対して利用者の平均年齢は26歳で業界でもっとも若いと語っている。
中国・北京で生まれてすぐに家族で渡米し、スウェーデンで育ったペイ氏。中国OPPOの出資を受けるスマホブランド「OnePlus」の共同創業者としても知られる。
そのペイ氏が20年に立ち上げたナッシングは、経営はロンドン、R&Dと生産は中国・深センを拠点とする。現在37カ国でスマホやイヤホンなどを展開し、累計販売台数は800万台に上る。25年の売上高は前年から2倍、設立以来の累計売上高は10億ドル超に達したという。
世界的にも競争が激しい、いわゆるレッドオーシャンのスマホ市場で新興のナッシングが急成長できたのはなぜか。
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