なぜ嵐は中国でも熱烈な支持を集めるのか。異なる年齢層の何人かのファンに尋ねると、彼らの答えには共通点があり、アイドルの才能と人柄に感心している。
「5人全員がマルチタレントで、大野智さんは個展を開くほどの表現力を持ち、他のメンバーも映画やテレビで確かな実力を発揮している。中国には、こうした総合力を備えたグループはあまりない」
「最初は“有名な日本のアイドル”という程度の認識だった。でも、知れば知るほど違いが見えてくる。歌やダンスだけでなく、バラエティでは本気で笑わせ、俳優としてもそれぞれが存在感を放つ。何より、5人の関係が自然で、誰か1人ではなく支え合っている姿が心に残る」
「私たちにとって日本はどこか距離のある存在だが、嵐を通して“温かさ”や“誠実さ”が伝わってきた。派手さではなく、人としての魅力で長く愛されている。そのことに気づいたとき、彼らの音楽や言葉は、いつの間にか自分の生活の一部になっていた」
08年、嵐はアジアツアー「ARASHI AROUND ASIA 2008」の一環として、上海で公演を行った。会場の上海大舞台には約1万1000人が集まり、大きな熱狂を生んだ。
ジャニーズ事務所(当時)の所属アーティストとして初の中国本土公演という点でも、象徴的な一夜だった。「Love so sweet」などの代表曲に加え、中国語でのあいさつも交え、距離を越えた交流が印象を残した。
その後、20年に予定されていた嵐の北京公演は、コロナの感染拡大により中止となる。当時、年内での活動休止が発表されていたこともあり、「最後の海外公演」として注目を集めていただけに、中国ファンにとって落胆は大きかった。
中国の人々の記憶に刻まれた日本のアイドル
中国人が日本のアイドルを好むようになった要因は、嵐の登場に限らない。それよりもはるか前から、日本のスターは中国の人々の憧れの対象であり続けてきた。
1980年代には、俳優の高倉健が圧倒的な人気を誇り、その寡黙で誠実な人物像は「理想の男性像」として広く共有された。また、山口百恵の生き方も、時代を超えて関心を集め続けている。
さらに、栗原小巻、中野良子、荒木由美子、紺野美沙子といった女優たちも、長く美しい印象を中国の人々の記憶に刻んできた。
