89年の事件発生後、おたく擁護論を展開した批評家に大塚英志氏がいる。彼は『仮想現実批評: 消費社会は終わらない (ノマド叢書、1992年)』のなかで、おたくに対する実態調査を実施した結果を、以下のように述べている。
(10代から20代の平均が2.8人であるのに対し、おたくは6.9人)
(20代の平均月収が16万6000円に対し、おたくの20代は22万7000円)
この結果は、事件によって植え付けられた、暗い・社会性がない・何をしでかすかわからない危険な人物像とはかけ離れているといえるだろう。おたくに対する偏見は、当時のマスコミによって作り出された可能性が高い。
もちろん、出版年次が92年と30年以上前であり、本書が全体的におたく擁護に傾いているという事情がある。何人に調査したのか、抽出した対象者に偏りがなかったかなどの疑問も残る。
それでも、「おたく趣味」と幼女に対する犯罪をつなげる=記号を、ここで断ち切るだけのよりどころにはなるだろう。
アルル・ナジャやセイント・テールに共通する巨大な目も異様な手足の長さも、許容すれば、自らの容姿に対する願望をデフォルメした姿に見えてくる。胸キュンとまではいかないが、少しだけ愛おしく思えた。
“生身の女性”への恋愛は高校時代が最後
「歳を重ねるうちに、二次元キャラクターへの恋愛の比重が徐々に増えていったように思います。実在の女性に対する恋愛は、一度も実ることはありませんでした」と近藤さんは語る。
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【「自分はこの先、結婚することはない」】
