私が現代文の教員として意識的に取り入れていた授業内での取り組みは、「はじめて読む文章の感想はオールフリーにする」というものでした。
どういうことかというと、「これはこういう作品だ」「〇年に書かれた作品だから、あの出来事を元にしているはずだ」など、文章には書かれていない知識を先に入れず、まっさらな状態で読んでもらい、感想を言ってもらうということです。
この読み方を、私は「読者論的読み」と呼んでいます。
書かれている内容を「どんなふうに読むか?」がすべて読者の自由に委ねられている読み方のことです。
先入観があると、その内容に引っ張られ、「与えられた答えを確認するだけ」の読解に留まってしまいます。「外的要素は思考の方向性を一方向に定めやすい」のです。
言わずもがな、これは読者が自由に言葉そのものを味わい、登場人物の言動や、作品のメッセージを考える余地を奪ってしまうことになってしまいます。
私は、教え子たちの「思考力や感性を高めたい」という理由から、特別な情報は何も与えず、フラットな状態で文章だけを読むことに集中してもらっていました。
「あなたはどう考えたの?」に役立つ力を養う"読み方"
どうして私は、「最初は読者論的読み」にこだわっていたのか?
それは、「読んで思うことは、人に伝えられるようになるから」です。
長い教員生活の中で、生徒が「自分ならでは」の視点をもって考える力を養うことが、結局は社会に出て活躍する人財を育てることになると実感していました。
「あなたはどう考えたの?」
社会で問われつづけるこの視点を現代文の授業でこそ養いたい。このように考え、私は日々の授業に取り組んできたのです。
「読者論的読み」は、文法や語彙の知識にもとづいて、その場面に書かれている内容や、作者の意図していることを、まずは正確に読み解く必要があるという特徴があります。
つまり、より「文章を客観的に正しく読むルール」を身につけていることがかなり重要なのです。
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【自由に読むことで発想の幅が広がる】
