「東大と京大は、どちらの入試の方が難しいのか」。受験の世界では昔から繰り返し語られてきた問いです。けれど、この問いに単純な一言で答えるのは本当はかなり難しい。なぜなら、両大学の入試は、同じ「学力」を測っているように見えて、その実、かなり違う能力を見ようとしているからです。
東大英語は「思考の速さ」京大英語は「思考の深さ」
その違いは、英語という一科目を見ただけでもはっきりわかります。あえて一言で表すなら、東大英語は「思考の速さ」を、京大英語は「思考の深さ」を問う試験です。
東大英語の特徴は、何よりもまず問題量の多さにあります。120分という試験時間の中で、実質的には9問前後を処理しなければならず、内容も要約、リスニング、英文和訳、英作文、小説読解と非常に幅広い。ここまで多彩な形式を一つの試験に詰め込む大学は珍しく、しかもそれぞれを一定の精度でこなすことが求められます。
要約問題を毎年のように出題する大学はそう多くありませんし、英語で小説を読ませる入試もかなり特殊です。
ただし、東大英語は一問一問が極端に難解かと言われると、必ずしもそうではありません。むしろ、深く考えすぎれば時間を失うように設計されている。つまり東大が見ているのは、「難問をうんうん考えて解けるか」以上に、「多くの情報を、限られた時間で、速く正確に処理できるか」なのです。
文章の骨格をつかみ、重要なポイントを見抜き、必要な答えを過不足なく出す。その処理能力こそが、東大英語の本質だと言っていいでしょう。
次ページが続きます:
【東大は知識の運用力を問う試験】
