そこで注目されるのが、国民投票の結果も左右しかねない世論の動向だ。4月に実施されたFNN(フジニュースネットワーク)世論調査の結果を見ると、自民党の改憲4項目への賛成は「教育の充実」83.3%、「緊急事態条項の創設」66.2%、「自衛隊の明記」59.3%、「参議院の合区の解消」54.1%と、「合区解消」が最も少ない。
こうした傾向について、政界関係者は「東京や大阪の人たちは自分たちに関係ないから関心が低くて人口も多いから、調査の数字は合区が低く出る」と分析する。
現在の合区は島根と鳥取、高知と徳島の2カ所だが、最新の人口動態調査で試算すると、次は和歌山と山梨が合区になる可能性があるとされる。ただ、関係者の間では「飛び地の合区などありえないのが常識」(選挙アナリスト)。だからこそ、高市首相は「再来年の参院選前に決着をつけるべきだ」と主張するわけだ。
安倍首相ですら二の足を踏んだ改憲強行
ただ、高市首相が「合区」とのセットで実現を狙う「緊急事態条項の創設」については、各種世論調査で賛成が多い一方、政界では異論も少なくない。
というのも、その具体的内容が「緊急時には衆院議員の任期延長を認める」となっており、参院の与野党には「衆院解散時に機能を代替する『参院の緊急集会』規定が憲法にあるため、参院の軽視だ」という反発があるからだ。
もちろん、有識者の間では「大地震などの国家的緊急時に立法機関が参院だけでは機能しない」との声も少なくない。「参院のプライドの高さから、合意形成は簡単ではない」(自民参院幹部)のが実情だ。
歴代首相の中で高市首相以上に憲法初改正に強い意欲を示していたのは故安倍晋三元首相だった。しかし、当時の安倍政権を支えた側近の中から「憲法9条改正に踏み込もうとすれば、国民投票で否決される公算が大きく、その場合は首相退陣にもつながりかねない」との分析を伝えられると、「その時点で安倍さんは改憲強行を思いとどまった」(当時の秘書官)とされる。
仮に今回、高市首相が9条を封印して「合区」と「緊急事態」を先行発議した場合について、自民党内にも「『合区』は可決、『緊急事態』否決と賛否が分かれ、結果的に首相退陣のきっかけになる」(反高市グループの有力議員)との声が少なくない。はたして、高市首相は高支持率を背景に2項目の先行発議に打って出ることができるのか。
