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ライフ #ジモトのアタリマエ──観光客の知らない知恵と常識

「元遊郭が肉豆腐屋に変身」「徳川家康と岩崎弥太郎の力も頂戴」…一度は廃れた街を復活させた熱海の"ちゃっかり力"

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熱海のビーチ
「東洋のナポリ」と呼ばれている熱海のビーチ(写真:masy/PIXTA)
  • 谷口 素子 取材ライター・コラムニスト
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熱海っ子の特徴を挙げるとしたら、“人懐っこくておおらか”。反面、“ちゃっかり”気質も兼ね備えている。もちろんいい意味だ。筆者もよく「ちゃっかりしているね」といわれる。そして熱海の繁栄も、この気質の恩恵を受けて成り立っている。

「100万ドル」ならぬ「37万ドル」の夜景

熱海の街にある“ちゃっかり”の一つは、「100万ドルの夜景」だ。街のキャッチコピーとしていつからいつまで使っていたのか、調べてみたがわからなかった。しかしジモト民の多くは夜景をみると「これが熱海の100万ドルの夜景です」と紹介している。

「100万ドルの夜景」といえば、香港のビクトリア・ピークから見る夜景が有名だ。筆者は、100万ドルという単位は香港ドルからきたコピーだと思っていた。

しかし調べてみると昭和初期、神戸六甲山では「電灯の電気代が約100万ドル」だったことに由来して、100万ドルの夜景といっていたらしい。ほかにも、函館山からの夜景も100万ドルの夜景というように、夜景が美しい地域では頻繁に使われている。

熱海の100万ドル(?)の夜景(写真:Sakura Ikkyo/PIXTA)
【写真を見る】「元遊郭が肉豆腐屋に変身」「徳川家康と岩崎弥太郎の力も頂戴」…一度は廃れた街を復活させた熱海の"ちゃっかり力"(29枚)

『熱海市史』によると昭和36年度、熱海には1150万人の観光客が訪れていた。2位の別府は570万人で、かなり人気の観光地だったことがうかがえる。

きっと旅館、ホテルともに連日満室だったに違いない。各部屋の窓から漏れる灯りは、山から見ると宝石のようにキラキラしていたはずだ。その頃から、熱海も100万ドルの夜景というコピーを使っていたのではないかと筆者は考えている。

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【少しでもイタリアの雰囲気を醸し出したい】

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