魚といえば、熱海は干物を専門に扱う老舗も多い。だからおすすめの店を聞かれることも多いのだが、正直、どこの店もクオリティは高い。あとは塩加減、魚の大きさ、身の硬さの好みによっておすすめが分かれる。
筆者は、前述の藤元の干物が好きだ。焼くと脂がジワジワと溢れ出し、薄めの味も口に合う。よくお使い物にもしていて、贈り先からは「どの干物も美味しかったけれど、とくにみりん干しは絶品」と言われる。ちなみに、自家製のからすみが有名なことも付け加えておく。
糸川周辺で食の誘惑を堪能したら、もう少し坂を下りてみよう。次は、宿泊する人に向けたジモト民ならではの提案だ。ホテルや旅館が高騰している熱海。素泊まりであっても、1万円以下で泊まれる宿は少ない。そのため宿泊せず、日帰りで帰る観光客も少なくないが、熱海に来たのなら帰る時間を気にせず遊んでほしいと筆者は思う。
一方でお財布の中身には限りがある。ならば夕飯を節約して浮いた予算を宿泊費にあてるのはどうだろう。誤解してほしくないのは、コンビニ飯で済ませようという話ではない。ジモト民が通う商店で、夕飯を調達するのはどうだろうか。
お造りも寿司盛り合わせも、都心の3分の2程度で
たとえば市役所から歩いて5分のところにある中島水産市民市場。鮮魚を中心としたコンパクトなスーパーだ。魚の種類は豊富だし、値段も都心の3分の2程度。刺身や三枚おろしも頼める。水槽にはさざえや伊勢海老が泳いでいることもあり、鮮度は抜群だ。筆者はこの店で寿司を買い求める。ちらし寿司(ミニ)は、マグロもエビもイカも入って648円(税込)。ミニながら、十分に満足感が得られる。
余談だが、筆者の子供の頃、冬場になると食卓にイルカの味噌煮が並んだ。パック詰めされたイルカの切り身を母が中島水産で買い、ごぼうとともに味噌と砂糖と酒で煮込む。気になる味はというと、肉の味はほぼなくやや繊維質。独特の臭みを少し感じたものの気になるほどではない。皮のまわりはプリプリのゼラチンで、グミみたいな歯ごたえだ。遠い記憶なので定かではないが、イルカを煮た日は、父の機嫌も上々で饒舌になり、晩酌の時間もいつもより長かった。
次ページが続きます:
【運が良ければ出来立ての厚揚げが…】
