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年間600万人が押し寄せる熱海「駅前のプリンと海鮮丼で帰らないで」ジモト民が通う《坂を下りた先》の素朴なグルメ

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トンカツ屋の名店「喜撰」のカツサンド
売り切れ御免、喜撰のカツサンド(写真:筆者撮影)
  • 谷口 素子 取材ライター・コラムニスト
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トンカツと同じく人気メニューだったのがカツサンドである。女将はこれを復活させた。パンは食パンで、サンドウィッチ用の薄いタイプ。それを軽くトーストしてバターとからしを塗る。挟む具材はソースで炒めたザク切りのキャベツと、ソースがたっぷりからまったトンカツ。

端をカットして綺麗な長方形に整えたら、4つ切りにして箱につめる。パンにソースが染み込み、歯応えが少しだけ残った“くたしゃき”のキャベツと、柔らかい肉の旨みがじゅわっとしみ出るトンカツ……。ボリュームはあるが、ソースがあっさりしているので、一人前をぺろりと食べられる。

ぜひ味わっていただきたいが、最近では、店のオープン前にすでに予約完売ということもある。営業日は、月のうち5、6日程度で、曜日や日にちは決まっていない。営業日は店に張り紙をしているほか、Instagramでも告知しているので確認してほしい。

藤元の「おぼろ」がなければちらし寿司は作らない

筆者の母の得意料理に「ちらし寿司」がある。細切りにしたにんじん、椎茸を甘辛く煮て、酢飯にからめる。その上に絹さや、レンコン、エビを飾るオーソドックスなものだが、具材に藤元の「おぼろ」がたっぷり入っている。

創業は江戸時代末期。女将のおぼろは薄味でちらしのアクセントになる(写真:筆者撮影)

おぼろとは、白身の魚を茹でた後、身をほぐして味をつけ、いり煮にした食べものだ。藤元は、熱海市役所の近くにある、創業が江戸時代末期の鮮魚店である。母が愛してやまないこの店のおぼろは、魚の身を醤油、酒、砂糖で煮詰めて作る、素朴な味わい。しょっぱすぎず甘すぎない。尖った主張がないので、ほかの素材を邪魔することなく、でもほどよい主張がある。

藤元のおぼろ。しっとりとした食感で魚の旨みたっぷり、ほんのり甘い(写真:筆者撮影)

以前、おぼろを入れないでちらし寿司が食卓に出たときは、味がぼやけていて不評だった。以来母は、藤元におぼろが売られていない日はちらし寿司を作らなくなった。それぐらい藤元のおぼろは、母のちらし寿司には欠かせないのだ。

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【宿が高いなら、商店の安旨ホテル飯で】

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