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年間600万人が押し寄せる熱海「駅前のプリンと海鮮丼で帰らないで」ジモト民が通う《坂を下りた先》の素朴なグルメ

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トンカツ屋の名店「喜撰」のカツサンド
売り切れ御免、喜撰のカツサンド(写真:筆者撮影)
  • 谷口 素子 取材ライター・コラムニスト
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熱海はラーメン屋、町中華、本格中華など中華料理店も多数ある。なかでも筆者が小さい頃から通っている「大一楼」は、1933年(昭和8年)創業。テレビでもよく紹介されているので、知っている人もいるかもしれない。梅宮辰夫や長州力も通う「大一楼」は、何を食べてもハズレがない。

最近は行列が絶えない「大一楼」(写真:筆者撮影)

筆者がこの店に行くと必ず頼むのが「揚げワンタン」。ワンタンというと真ん中に肉だねがある形状をイメージするが、それとは異なる。大きな皮を広げてカリッと揚げる。煎餅のような形でありながら、皮の端部にやや膨らみがあり、そこに少しだけ肉だねが入っているのだ。パリパリした食感のあとに、しっとりした肉だねがやってくる。これが最高だ。

熱々の甘酢タレをディップして食べると、お菓子感覚に。タレをつけずにそのままでも香ばしくて、ビールのおつまみになる。

2代目女将が作るカツサンドは売り切れ御免

「大一楼」の隣にある「喜撰(きせん)」は、トンカツ屋の名店だった。過去形なのは現在、トンカツ屋としては営業をしていないからだ。2代目が亡くなり、しばらく店を閉めていたのだ。

2018年、2代目の女将がメニューをカツサンドに限定し、テイクアウト専門の店舗として復活させた。

予約で売り切れになってしまうことも多い喜撰のカツサンド(写真:筆者撮影)

筆者の祖父が通っていた先代の頃には、現在のような店舗はなく、屋台でトンカツを揚げていたと聞く。そして、店舗化してからは、カウンター約8席に、4人掛けのテーブル席が2つだったように記憶している。

筆者は5人家族なので、一家で店舗に行くと、すぐに満員になってしまった。そのためトンカツをあらかじめ電話で注文し、揚がる頃に、子供たちが皿を持って取りに行くことが多かった。

当時のメニューはロースカツとヒレカツ。衣はきめが細かくて、ラードでカラッと揚げていた。

そして喜撰の代名詞とも呼ばれるのがオリジナルのトンカツソース。少し粘性があり、色は茶色。ほどよく甘くて、舌にベタつくことなくサラッとしている。このソースは2代目の女将が受け継ぎ、現在もソースのみ購入可能だ。

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【カツサンドはオープン前に予約完売ということも】

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