もう一つ、設計思想に関わる気になる点がある。The Clockは「枕元からスマホを排除する」ことを提案する製品だ。にもかかわらず、正確な時刻表示や各種設定、目覚ましアラームの調整、Light Hourの音源選択まで、ほとんどの操作に専用アプリが必要となる。
つまり、デジタルデトックスのためにスマホを遠ざけたくても、The Clockを使いこなすためには、結局はスマホを手元に置いておかなければならない。設計思想と運用実態の間に、看過しがたい矛盾がある。
もちろん、一度設定してしまえば日常的にスマホを触る必要は減る。しかし「スマホから離れたい」というユーザー心理に応える製品としては、もう一歩踏み込んだ設計が欲しかった。
眠った市場を、再び呼び覚ませるか
いくつか気になる点はあるものの、置き時計という注目度が低いカテゴリーに、これほど大胆な解釈を持ち込んだ点は、いかにもバルミューダらしい試みと言える。
バッテリー駆動時間やメンテナンス性といった実用面での課題は確かに存在するが、こうした野心的なプロダクトは注目度も高い。
筆者のまわりでは「The Clock」のコンセプトに共感し、購入した知人が数人いる。
かつてバルミューダは、トースター市場に「体験を売る」という風を吹き込み、眠っていた市場を呼び覚ました。The Clockが置き時計市場で同じ役割を果たせるか。
その答えは、これから市場が出すことになる。
