だが、ここで大きな疑問が浮上する。一頭買いを掲げる焼肉店は増えている。ならば、もっと回転焼肉店が増えてもよさそうなものだ。しかし、そうはなっていない。
レーンの開発費だけで数千万、焼肉店がもう1軒作れる
最大の理由は、回転寿司のコンベアをそのまま流用できないことにある。肉は寿司よりも厳密な温度管理を必要とするため、冷蔵状態で肉を回すことのできるレーンをゼロから開発しなければならないのだ。
イメージしづらいと思うので、まずは現在宮町店にある回転焼肉レーンを見てもらいたい。
レーンは透明なアクリル板に覆われていて、ショーケース全体が冷蔵庫のようになっている。取り出す時にはレーンの下にある、赤いボタンを押すと、アクリル板が左右に動き、観音開きになる仕組みだ。
当時、回転焼肉店を作ろうと決意した淺井さんは、保冷しながら皿を回せる仕組みはないかとコンベアメーカー数社に問い合わせをした。
そして、その中の一社、北日本カコー株式会社が、ホコリや乾燥から守るための屋根が付いたコンベアを販売していることを知る。ただこのコンベアは、寿司を取り出す時は手動で透明なルーフを押し上げて開ける仕組みになっていた。
「自分の手で開ける方法では、お客さまに面倒をかけてしまう。自動で開くようにできないか」
淺井さんは妥協しなかった。北日本カコーに相談すると、実用化はされていないが、自動開閉システムの設計図が存在していることが判明した。「いけるかもしれない」と淺井さんはその設計図をもとに自動開閉式のルーフ付きコンベアを特注。ゼロから完全オリジナルで制作したため、費用は数千万かかった。
「自動開閉式のコンベアの中に、松阪の冷凍業者に頼んで冷媒配管を取り付けてもらいました」
自動開閉式のルーフ付きコンベア+冷媒配管。こうして、日本に一台しかない、冷蔵庫の中を商品が回るレーンが誕生した。焼肉店は排煙ダクト設備やロースターの設置が必要なため、一般的な焼肉店でも普通の飲食店よりも開店資金が高いと言われている。その焼肉店がもう一店舗建つ値段なのだそう。多くの企業が参入を躊躇するわけだ。
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【日本初の回転焼肉店は連日大行列に】
