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JPモルガン幹部に聞く「世界最強銀行」のAI投資・日本展開戦略──トロイ・ローボー氏インタビュー(下)

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トロイ・ローボー氏
JPモルガンの商業・投資銀行部門共同CEOを務めるトロイ・ローボー氏(撮影:今井康一)

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ROE(自己資本利益率)17%と、銀行グループとしては驚異的な収益率を誇るアメリカのJPモルガン・チェース。時価総額は8000億ドルを超え、銀行として初の1兆ドルも視野に入る。
国内外の金融市場で存在感を発揮し、近年はAIへの巨額投資でも注目を集める。金融グループとしていかにAIに投資し、活用していくのか。また、日本市場の今後をどのように見ているのか。商業・投資銀行部門共同CEOを務めるトロイ・ローボー氏に聞いた。
前回の配信
「プライベートクレジット問題はシステミックリスクにならない」

――AIへの投資に注目が集まっています。報道ベースでは、JPモルガンのAI投資額は年間約20億ドルに上るとみられていますが、足元の投資戦略について教えてください。

AI単体の投資額を正確に算出するのは難しため、AIに特化した具体的な数字は控えたい。ただ、会社全体としてテクノロジー領域には年間約200億ドルを投資している。

確実に言えるのは、テクノロジーに巨額の資金を投じており、専門の部門だけではなく、フロントからバックオフィスに至るまで、組織全体でAIの活用に邁進しているということだ。

トロイ・ローボー(Troy Rohrbaugh)/アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で政治学の学士号取得。カナダ・ナショナル銀行やゴールドマン・サックスを経て2005年にJPモルガン入社。マーケッツ&セキュリティーズ・サービス部門の共同責任者などを経て24年から現職。ジェイミー・ダイモンCEOの有力な後継者候補の1人で、日本での勤務経験もある。

業務を劇的に変える5つのAI領域

――管轄のCIB(商業・投資銀行)部門では、具体的にどのようなAI領域に投資しているのでしょう。

大きく5つの領域に分類できる。具体的には、①不正検知・防止、②オペレーションの効率化、③テクノロジー開発、④トレーディング、そして⑤顧客エンゲージメントだ。

不正検知・防止は、かつてはマシンラーニング(機械学習)の活用が中心だったが、現在はAIの領域に入っている。オペレーションの効率化はAI活用によるコスト削減や生産性の向上が狙いだ。

テクノロジー開発をめぐっては、最新のコーディングツールは膨大な作業をこなす力があるため、開発現場の効率化と処理能力が大きく向上している。長期的にはコスト削減にもつながるはずだ。

トレーディングでは、AIを活用することで非常に効率的な取引が行えるようになっている。新しい投資アイデアを素早くバックテストし、収益機会を増やすことも可能になった。

そして顧客エンゲージメントに関しては、営業担当者の業務を劇的に効率化するツールを構築している。1社の顧客により深く入り込むのか、それともより多くの顧客をカバーするのか。いずれの方向でも、AIは営業力を引き上げる武器になる。 

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【「最強銀行」を生んだ20年の蓄積】

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