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JPモルガン幹部「プライベートクレジット問題はシステミックリスクにならない」──トロイ・ローボー氏インタビュー(上)

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トロイ・ローボー氏
JPモルガンの商業・投資銀行部門共同CEOを務めるトロイ・ローボー氏(撮影:今井康一)

INDEX

投資ファンドなどのノンバンクが投資家から集めた資金を企業などに供給するプライベートクレジット。資金供給先であるSaaS企業の業績悪化懸念が高まったことなどを背景に、アメリカを中心にファンドに対する個人投資家の解約請求が急増する事態となっている。
リーマンショックのようなシステミックリスクに発展することへの不安もささやかれる中、世界最大手銀行グループは現在の状況をどう見ているのか。プライベートクレジット問題や注目されるAIへの巨額投資などをテーマに、JPモルガン・チェースの商業・投資銀行部門共同CEO・トロイ・ローボー氏のインタビューを2回に分けて配信する。
次回の配信予定
世界最強銀行JPモルガンのAI投資・日本展開戦略

「今後も市場の成長は続く」

――プライベートクレジットが抱えるリスクを懸念する声が強まっています。金融危機に至る最悪のシナリオを想定する向きもありますが、市場の先行きをどう予測していますか。

プライベートクレジットとは、狭義には格付けのない中堅・中小企業に対する5000万ドルから5億ドル規模のノンバンク融資を指す。最近では、投資適格企業や大企業にまで融資の対象が広がっており、市場は大きく拡大している。

結論から言えば、プライベートクレジットで損失が出たり、市場にストレスが生じたりする可能性は当然あるが、規模の観点からシステミックリスクに発展する可能性は小さいと考えている。

トロイ・ローボー(Troy Rohrbaugh)/アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で政治学の学士号取得。カナダ・ナショナル銀行やゴールドマン・サックスを経て2005年にJPモルガン入社。マーケッツ&セキュリティーズ・サービス部門の共同責任者などを経て24年から現職。ジェイミー・ダイモンCEOの有力な後継者候補の1人で、日本での勤務経験もある。

理由は、市場規模がおよそ1.7兆ドルと小さいからだ。ハイイールド(高利回り)債やシンジケートローン(協調融資)市場とほぼ同規模だが、ハイグレード(投資適格)債市場に比べればはるかに小さい。

他の市場に比べてレバレッジも小さく、資金調達と運用の期間がマッチしている点もプライベートクレジットの特徴だ。長期的な資産に対して、長期的な投資家が資金を提供しているケースが多い。つまり他市場より規模が小さいうえ、低レバレッジで資金のミスマッチが少ないので、システミックリスクにはなりえない。

プライベートクレジット市場の成長スピードは今後鈍化するかもしれないが、他の市場よりも幾分速いペースで成長し続けると見ている。すでに膨大な資金を調達していて、ドライパウダー(投資待機資金)も豊富にある。市場の拡大と重要性の高まりは今後も続くはずだ。

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【市場拡大の背景に「顧客ニーズ」】

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