1月末の寄稿以降、米国株式市場は多くのショックに見舞われた。
1つはAIの社会実装が加速する中で、既存ビジネスがAIに代替される恐怖が高まったことだ。「SaaSの死」という言葉が市場に拡散し、ソフトウェア関連銘柄の株価は急落した。
もう1つはプライベートクレジット市場に対する不安である。これまで低金利と豊富な流動性を背景に拡大してきた同市場において、信用リスクや流動性リスクが改めて意識され、投資家の解約依頼が殺到した。さらに2月末にイラン戦争が勃発し、ホルムズ海峡の実質的な封鎖によってエネルギー価格が急上昇し、世界的な金利上昇圧力も強まった。
実際、イラン戦争開始から4月3日までに原油価格は約66%、天然ガス価格は約62%上昇し、ジェット燃料価格は140%超もの上昇となった。全米ガソリン平均価格も37%上昇している。
アメリカの10年金利は4%割れの水準から4.3%台へと約0.4ポイント上昇したほか、ドイツ10年金利は0.35ポイント、イギリス10年金利は0.6ポイント上昇した。今後の金融政策に関する市場予想も大きく変化。ヨーロッパは利上げモードへ転換し、アメリカは利下げ期待が剥落している。
株式市場はパニックに陥っていない
しかし、これだけ金融市場の変化が生じている割には、この間のS&P500の騰落率は4%超の下落にとどまっており、株式市場はパニックに陥っていない。
1月末の本欄ではS&P500指数の年末水準として7777ポイントを想定したが、現時点ではこの予想を変更する必要はないと考える。
年初来騰落率もS&P500がマイナス3.8%、ナスダック100がマイナス4.8%程度であるほか、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数は年初来プラス10.6%とプラスリターンを維持している。本来であれば、原油高・インフレ懸念・長期金利上昇という組み合わせは株式市場にとって大きな逆風となる。



















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