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売上143億円「バルニバービ」が店をつくり、街を育てたら土地が8億→32億に…常識を覆す"バッドロケーション戦略"の全貌

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GARB COSTA ORANGE
兵庫県・淡路島「GARB COSTA ORANGE」の海が見えるテラス席(写真:筆者撮影)
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こうして1995年に誕生したのが、レストランカフェ「Hamac de Paradis(アマーク・ド・パラディ)」だ。日本語で「天国のハンモック」。日常から少し離れてくつろげる場所にしたいという思いが込められている。実際にその空間は、「この店に行きたい」と思わせる魅力となり、人の流れを生み出していった。その後、現在まで31年間続く人気店になっている。

一般的には不利とされる場所であっても、店そのものに価値があれば人は足を運ぶ――。そのことが、場所の価値を引き上げる。この原体験から、「バッドロケーション戦略」は生まれた。

不利な立地が生むメリット

代表取締役の安藤文豪さん(写真:バルニバービ)

今回取材したのは、2021年に佐藤さんから代表取締役社長を引き継いだ安藤文豪さん。南船場以降の出店で、「バッドロケーション戦略」はどのように実践されているのか。まず候補地の選定について尋ねた。

「自分たちがランニング中や散歩中にいい場所を見つけることもありますし、最近は、出店してほしいとディベロッパーさんや行政からもかなり連絡をもらいます」

また、バルニバービは、南船場の成功から現在まで、31年で全国106店舗に拡大しているが、その理由をこう話す。

「交通の便が悪かったり、人の行き来が少ない場所は家賃が抑えられます。その分、初期投資や内装、空間づくりにしっかりと予算をかけることができるんです。あと、周囲に競合も少ないので、コンセプト設計の自由度も高い店づくりが可能になるんです」

つまり、この戦略は「バクチ」ではなく、明確なメリットに基づいているのだ。「立地が良いから人が来る店」ではない。「そこに行きたい店があるから人が訪れる」という状態を次々に作り出している。

東京・丸の内「GARB Tokyo」(写真:バルニバービ)

安藤さんはその一例として、東京・丸の内にあるレストラン「GARB Tokyo」を挙げた。もともと飲食店が立ち並ぶエリアではなかったが、三菱地所による街づくりの流れの中で2006年に出店された。

「あの場所に、食を通じた“場”をつくりたかったんです。誰もが自然と集まり、井戸端会議のように語り合える空間があればいいなって」

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【成功の裏で生まれた副作用】

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