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ビジネス #外食ビジネスのハテナ特捜最前線Ⅱ

売上143億円「バルニバービ」が店をつくり、街を育てたら土地が8億→32億に…常識を覆す"バッドロケーション戦略"の全貌

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GARB COSTA ORANGE
兵庫県・淡路島「GARB COSTA ORANGE」の海が見えるテラス席(写真:筆者撮影)
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ちょうどディナータイムが始まった時間で、客席は半分ほど埋まっていた。価格帯は1品1000〜2000円。2〜3人でシェアできるサラダ、肉料理、パスタ。筆者が注文した「和牛グリル」は岩塩やガーリックチップ添えでワインがすすんだ。「特別な日」というよりは、ランチ含め「また来たい」と思わせる使い勝手の良さがあった。

調べると、「ビエラ大津」を含め、このエリアは大津市と西日本旅客鉄道が連携して整備した再開発地域だという。

――なぜ、この場所に店を出し、9年経った今でも店が成り立つのか。

飲食店が避ける場所に、あえて出店する理由

「THE CALENDAR」の運営会社バルニバービは、全国に106店舗を展開する外食企業だ。しかし、それぞれ店名もコンセプトもすべて異なっている。統一されたマニュアルや同じメニューもなく、店舗ごとに個性を持たせた運営方針をとっている。

これらに加えて、バルニバービの最大の特徴は、あえて他の飲食店が出店しないような場所に出店する点にある。

通常、飲食店は人通りの多さや駅からの距離、周辺の競合状況といった指標をもとに立地を選ぶ。いわば「人が来る見込みがある」という前提に立っている。

しかしバルニバービは、その前提をあえて覆す。乗降客数や競合分析といったKPIに過度に頼らず、「この場所にこんな店があれば人は来る」という“先に店ありき”の発想で出店を行う。この独自の考え方は「バッドロケーション戦略」と呼ばれている。立地に依存するのではなく、店そのものの価値で人の流れを生み出すことを目指しているのだ。

一見リスクが高いと思われる戦略だが、業績はむしろ好調だ。直近の2025年7月期は、売上高が約143億円(前年比6.6%増)と拡大を続けており、純利益も4.2億円を確保している。コロナ後の回復を経て、売り上げは右肩上がりで推移している。

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【阪神・淡路大震災の被災地でおかゆの炊き出しを手伝った経験】

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