これほど医療が発達し、皆保険制度という恵まれた環境が整った日本において、治すことが非常に難しい病気が腎臓病。現在、その腎臓病の患者さんが激増しています。
世界的に有名な医学誌『ランセット』が2020年に発表したデータでは、2017年段階の日本人の腎臓病患者は2100万人。成人の5人に1人が腎臓病だという計算になります。
これは、糖尿病の1000万人よりずっと多く、まさに「国民病」ともいうべき事態です。
普通の健康診断では見つからない
がんは、一生のうちに2人に1人がかかる病気になっていますが、早期発見・早期治療で治る人もうんと増えています。早期発見できるのは、「がんは怖いから」と、多くの人が理解して検査を受けているからでしょう。
しかし、腎臓病は、よほど本人の意識が高くないと早期発見できません。今の健康診断システムにまかせていたらできません。
その証拠に、日本には現在約35万人の透析患者さんがいます。そして、毎年約4万人が新たに透析になり、約4万人が亡くなっています。
この事実は、すでに危機的状況にある日本の医療制度を圧迫しています。
厚生労働省は、2028年までに、新たに透析に入る患者さんが年3万5000人以下になるようにという目標を掲げていますが、難しい状況といわねばなりません。
こうした国の事情もさることながら、私は医師として、透析に入って苦しむ患者さんを1人でも減らしたいと願って本稿を書いています。
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【なぜ死を招く「ラスボス」なのか】
