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永田耕作さんは、歩くより先に、簡単な足し算ができるようになった。小学4年生のときに公文式の数学で同学年約9万人のなかで全国1位相当の成績を収めたこともある。いまであれば「ギフテッド」と呼ばれて不思議ではない子どもだった。
そのまま数学の道を突き進み、研究者になる。周囲はそんな未来を想像したが、実際は違う。現在、24歳の永田さんは東京大学を卒業後、都内の教育ベンチャー企業で“普通の会社員”として働いている。彼は今の状況を、こう受け止めている。
「数学がちょっとできる“普通の人”になれたことに、すごく満足しているんです」
天才性を伸ばすことと、人としてまっとうに生きること――。「個性を尊重」する時代に特別な子として育った永田さんに話を聞いた。
約9万人の中で全国1位相当の成績
「かなり変わった子だった」
永田さんは子どものころをそう振り返る。
「とにかく数字が好きで、家にある電卓に異常なくらい執着していたらしいんです。僕自身はもちろん覚えていませんが、家族の話によると、まだ立って歩けるようになる前に、簡単な足し算ならできるようになっていたそうです」
公園に行くときも、祖父が首から下げられるように改造してくれた電卓を胸元にぶら下げていた。
「幼稚園の自由帳にも、絵を描くんじゃなくて、ひたすら数字を書いていました。1、2、3、4……と順番にずっと数えていく。しかも、適当に並べていたわけじゃなくて、ちゃんと前の冊子の続きから始めているんです。数字を“数える”“並べる”こと自体が好きだったんだと思います」
根っこにあったのは「規則があるものを扱う心地よさ」だったという。
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【公文で同学年9万人中全国1位に】
