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ライフ #神童だったあの子の今

「歩くより先に簡単な足し算ができた」《ギフテッド》だった彼が天才性失っても手に入れられてよかった"普通の幸せ"

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永田さん
永田さんは東大を卒業後、都内のベンチャー企業で“普通の会社員”として働いている(写真:永田さん提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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今の永田さんは仕事仲間と飲みに行ったり、地元の友達とライブに行ったり、バッティングセンターに行ったり、野球観戦で盛り上がったりする生活を素直に楽しいと思えている。

「そう考えると、僕は“天才ではなくなった”というより、“別の生きやすさを手に入れた”んだと思います」

天才の予後と聞くと、才能がしぼんだ話のように聞こえるかもしれない。ただ、永田さんは天才だったころの尖りを少しずつ丸くしていった結果、“普通に楽しい”人生を手に入れた。

今は“普通の会社員”だ(写真:永田さん提供)

「だから、天才ではなくなったことは、僕にとって失敗ではありません。むしろ、すごく満足しています」

子どもの才能を伸ばすべきか、抑えるべきか

子どもの才能を前にしたとき、親や教師は迷う。伸ばすべきか、抑えるべきか。どこまで任せて、どこから介入すべきか。

永田さんの歩みが示しているのは、その問いに単純な正解はないということだろう。個性を潰さず、しかし放置もしない。好奇心を守りながら、集団のなかで生きる術も教える。才能を伸ばすことと、人として生きやすくなることは、必ずしも同じ方向を向いているとは限らない。

歩くより先に足し算を覚えた神童は、やがて「数学がちょっとできる普通の人」になった。だがそれは、何かを失った末の縮小ではない。むしろ、人とともに生きるために必要なものを獲得していった結果なのだ。

そして多くの子どもにとって、本当に豊かな“予後”とは、案外そういうものなのかもしれない。

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