ますます不透明性を高める国際経済情勢を理解するための重要な概念として、「グローバル・インバランス」に注目が集まっている。IMF(国際通貨基金)は、今年3月に「グローバル・インバランスを理解する」と題した研究報告書を発表し、4月には執行理事会が同報告書に基づく公式見解を発表した。またG7の経済専門家グループも3月にグローバル・インバランスに関する報告書を発表しており、この問題が今年6月のエビアン・サミットでも議題の1つになることが予想される。
グローバル・インバランスとは、世界的な貿易の拡大とともに、地域間で国際収支、および貯蓄・投資バランスの不均衡が生じている現象を指す。約20年前、中国など新興国の貯蓄過剰がアメリカにおける経常収支赤字の原因になっている、というベン・バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長(当時)の議論が世界的な関心を呼んだ。ただしその後、2008年のリーマンショックとその後の世界的な信用危機を受け、アメリカなどの先進国におけるいわゆるデレバレッジが進んだこともあって、貯蓄・投資バランスの不均衡は縮小に向かうことになった。
ではなぜ、今またグローバル・インバランスの問題が浮上してきているのだろうか。IMFによる報告書がまず挙げるのは、コロナ禍の経済ショックへの対応を通じたアメリカなどにおける財政赤字の拡大と家計による貯蓄の取り崩し、そして中国の不動産市場の減速に伴う国内需要の低迷という近年の先進国/途上国のマクロ経済における非対称性だ。それに加えて、同報告書は、近年における各国の産業政策への傾斜が、不均衡の拡大に大きく寄与したのではないか、と指摘している。
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【IMFの指摘は中国が行ってきた経済政策に重なる】
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