従来のスマートフォンならばこのような手順になるだろう。(1)カレンダーアプリを開いて空きを確認。(2)続いて地図アプリで周囲のお店を確認。(3)グルメサービスにアクセスして営業時間や予算をチェックし、これを複数店舗で繰り返す。(4)友人にお店の情報を知らせて、候補を選んでもらう。(5)返事が来たら予約を行う。このように複数の作業を行わなくてはならないのである。
Natural AI Phoneがこうした複雑な作業を「話しかける」「文字で指示する」だけで自動的にこなしてくれるのは、AI機能がスマートフォンを動かすOSの内部に組み込まれているからだ。そのため複数のアプリを有機的に連携させ、検索ワードや検索結果を受け渡しながら、最終的にユーザーにとって最適な答えを導き出すことができる。これこそが「AIエージェントスマホ」と呼ばれるゆえんなのである。
さらにAIエージェントは、ユーザーの行動履歴を学習する。普段から安価な店を選びがちな人には価格を抑えた候補を優先し、予定が詰まっている日には移動時間も加味した提案を行うなど、気の利いた自動化を提供してくれる。ユーザー自身が意識していない好みや生活パターンまで取り込んで最適化していくわけだ。
海外ではすでに販売中のAIエージェントスマホ
AIエージェントスマホの流れは、すでに海外で先行している。たとえば中国ではすでにAIエージェントをOSレベルで統合したNatural AI Phoneのようなスマートフォンが発売されている。その代表がZTE傘下のnubiaが販売している「M153」だ。このスマートフォンは「アプリを意識せず使えるスマホ」として話題を呼び、中国では品切れが相次いでいる。
「M153」はショート動画「TikTok」の中国版を展開しているバイトダンスが開発した「Doubao(豆包)」と呼ばれるAIエージェントが搭載されている。
たとえばユーザーが「明日の午前中に空いている時間で、美容室を予約して」と指示すれば、地図や予約サービス、メッセージアプリなどを組み合わせて手続きを進めてくれる。
ユーザーは最終的に画面に表示された予約結果を確認するだけでよく、途中のアプリ切り替えやフォーム入力はAIがすべて代わりに行ってくれる。実用的な「AIエージェントスマホ」として世界でも先行する製品だと言われている。
AIエージェントスマートフォンが中国でいち早く登場した背景には、多くの生活サービスがアプリとして提供されているだけでなく、SNS内で動くミニアプリとしても利用できる環境がすでに整っていたことがある。1つのプラットフォームの中で、日常のほとんどの用事を完結できるのだ。
日本でたとえるなら、個別のアプリをいくつも使い分けるのではなく、LINEさえ開けば、その中でお店探しから予約、決済まで一気に済ませられるような状況である。
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【次世代スマートフォン市場での主導権を狙うソフトバンク】
