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主力事業を二度もグーグルに売却した過去のあるHTCが、なぜ今"AIスマートグラス"に懸けるのか

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VIVE Eagleのブラック(クリアレンズ)。重さは約49gで一般的な眼鏡とほぼ変わらない(写真:筆者撮影)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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発表会に登壇したKDDIの近藤氏は「発売日の時点で全国約70店舗に実機を設置し、体感いただけるコーナーを設ける」と説明した。近藤氏自身も度付きレンズに交換したVIVE Eagleを着けて登壇し、「これまでスマートグラスに興味はあったが、度付きに対応する製品が少なかった」と語った。

まず「触れる場所」を作れるか

2026年に入り、日本のスマートグラス市場は急速に動き始めた。2月には眼鏡チェーン最大手の眼鏡市場がカメラ付きの「Linse」を5万5000円で発売し、3月末にはMetaが「Ray-Ban Meta」の日本投入を発表した。この夏にも販売が始まる見込みだ。

ただ、海外で売れている製品がそのまま日本で広がるかは別の話だ。眼鏡市場のLinseも初回生産は6000台にとどまり、現時点ではテクノロジーに関心の高い層が試し始めた段階にすぎない。山下氏が発表会で繰り返したのは「理解、体験、安心の積み重ね」という言葉だった。KDDIの近藤氏も「スマートグラスのリスタートを切る製品」と表現しており、過去に盛り上がりかけて失速した経緯を意識した慎重さがうかがえる。

HTCはデータの扱い方でも差別化を図っている。ユーザーデータの販売やAI学習への転用を行わない方針を掲げ、情報セキュリティと個人情報保護に関する国際認証も取得済みだ。Metaのスマートグラスでは撮影データの扱いが繰り返し問題視されてきた。Charles Huangシニア・バイスプレジデントが発表会で「個人データを商品として扱う企業とは異なるアプローチを取る」と述べたのは、そうした競合との違いを明確にする狙いがある。

製品が出揃い始めても、実際に手に取れる場所がなければ市場は動かない。KDDIの全国70店舗での展示体験と度付きレンズ対応は、スペック表だけでは伝わらない装着感や音質を体験させる仕掛けだ。スマートグラスが日常の眼鏡になるかどうかは、こうした地道な接点づくりの先にある。

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