大胆なカラーリングや新素材の導入は「飽きさせない」ための施策であると同時に「ブランドは変わっていくものだ」というメッセージも見せている。透明パーツや特徴的なライトは残しつつも、その見せ方を更新し続けることで、Nothingは「変わらないようで変わり続ける」ブランド像を作っているのだ。毎年同じ洋服を着ないのと同じように、スマホもまた、自分の気分やスタイルに合わせて選び直すものになりつつある。その未来を、誰よりも早く形にしようとしているのがNothingなのである。
Nothingが提供する「体験」というライフスタイル
今回の「Phone (4a)」「Phone (4a) Pro」の発表会は、単なる製品説明会だけでは終わらなかった。パーティーが行われ、新モデルの展示はありつつも、主役はあくまで「楽しむ時間」であった。音楽や演出を含め、Nothingの世界観に浸りながら新しい端末を手に取り、写真を撮り、お互いの感想を交わす。それは、スペック表を読み上げるプレゼンテーションとはまったく別種のコミュニケーションである。深夜まで続くこのパーティーは、海外での発表会やイベントでも同様に行われており、Nothingの「型」としてグローバルに定着しつつあるのだ。
Nothingのハードウェアと場づくりを一体で設計するスタイルはアップルを連想させるが、その一方で「体験をユーザーと一緒につくる距離感」はよりコミュニティー寄りだ。今や大企業であるアップルとは違う方向に振れていると感じられる。ユーザーの声を反映したカラー展開や、ファン向けイベントの温度感など、ブランドとユーザーの距離の近さを重視しているのである。その意味でNothingは「体験を売る企業」でありながら、その体験をユーザーと一緒に作っていくスタイルを取っていると言える。
最初のスマートフォン投入以降、Nothingは海外の一部市場ですでに一定の認知と評価を獲得している。これは単に新興ブランドとしての物珍しさによるものではなく、退屈になりがちなスマートフォン選びに「おしゃれで遊び心のある毎日」という新しい軸を差し込んだからである。
日本でも、スペックや価格だけではなく「持っていて気分が上がるか」「自分らしさを表現できるか」を重視するユーザーは確実に増えているとされる。 Nothingが提案するライフスタイルが日本のユーザーにどう受け止められるのか。今回の新製品がこれから静かに示していくことになるだろう。
