アメリカがイラン港湾の海上封鎖を続ける中、中国政府へのプレッシャーが強まっている。
戦争と世界的なエネルギー危機を終わらせる条件をイラン政府に受け入れさせるため、「中国政府が圧力をかけるべきだ」という声が強まっているのである。イランは中東における中国の友好国だが、現実には、中国にできることはほとんどなく、やろうとしていることもほとんどない。
4月中旬にはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ皇太子やスペインの首相を含む各国首脳らが北京を訪れたが、危機の解決のために中国に何ができるのかという問いは、あらゆる会談の背景事情として避けられないものになっていた。
こうした会談の中で中国の国家主席・習近平は、国際法をないがしろにする行為を「ジャングルの掟(弱肉強食)への逆戻り」と非難してアメリカの大統領ドナルド・トランプを当てこすり、危機解消に向けて4項目からなる「中国の解決策」を提示した。
イランに対して曖昧な態度をとり続ける
ただ、その案は、主権と国際法の原則の尊重をすべての当事者に呼びかける以上の内容にはなっていない。
これが映し出しているように、中国は自国経済への戦争の影響を懸念する一方で、イラン危機に深く巻き込まれることを避けている。そこには、安全の保証を求めるイランの要請に対して曖昧な態度をとり続けていることや、イラン最大の貿易相手国としての影響力を持ちながら、その影響力を行使してアメリカの要求を受け入れるようイランに迫る行動に出ていないことも含まれる。
イランに圧力をかけるよう中国に求めるのは「中国の外交政策と立場を誤解している」からだと、上海外国語大学・中東研究所の丁隆教授は指摘する。
「最初からこの戦争に反対してきた中国には、アメリカやイスラエルを助けるつもりはない」
他国の内政に干渉しないと長年にわたって主張してきた中国は、自らのわがままを通せるような形で世界的な指導国と見られる展開を望んでいる。防衛上の同盟関係を通じて世界的な支配力を長期にわたって維持してきたアメリカと違い、中国が軍事同盟条約を結んでいる相手は北朝鮮1カ国しかない。
そして中国指導部には、他国の防衛に関与し、結果として自国の力を損なう高コストの戦争に引きずり込まれる危険を背負う意思はほとんどない。
ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センターのシニアフェローであるパトリシア・キムは、「中国の指導者たちは、中東への介入をアメリカ衰退の主要因の1つとみなす傾向があり、そのようなモデルをなぞることには関心がない」と述べた。
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【混乱が長引けば、中国も多くを失う】
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