「両親はこちらへ移住してからも、二人で散歩や東京観光を楽しんでいましたし、現在でも私の仕事や家のことも手伝ってくれて、とても助けられています。頻繁に会えるので、親の暮らしぶりも分かり、体調の変化にも気づきやすいです。
そういった意味でも、両親がなるべく若く、気力や体力があるうちに実家じまいについて考え、行動することが大切だなと実感しました」
「実家をどうするか」より先に聞くこと
自身の体験をもとに実家じまいに関心をもち、それに関する話題を取り上げるWEBマガジン「実家のこと。」編集長としての活動をスタートした大井さん。
実家じまいについて悩む人は多く、大井さんの活動を知った人から相談が寄せられることもあるという。大井さんの実家のように、両親が健在のうちに実家じまいを終えられる人はどの程度いるのだろうか。
「あまり多くないなというのが私の所感です。60代くらいだと『終活』というワードにもなじみがあって、その一環として自宅(子世代にとっての実家)をどうするか考えている人も少なくありません。
一方で、相談を受ける中では、もう少し上の世代になると『できればこの家で一生を終えたい』と考える人が多い印象があります。親の介護が必要になり、施設に入所したのをきっかけに実家じまいに着手するケースもよく見ますが、そうなると親の意思をゆっくり確認できず、後悔が残ってしまうこともあるようです」
親への切り出し方としては、どのようにアドバイスしているのだろうか。大井さんによれば、まずは親の意思を確認することだという。
「あらたまって話をするとやはり親も身構えてしまうので、食事をしながらなど和やかな雰囲気のなかで切り出すのがスムーズだと思います。
また、実家をどうするかよりも、これからどんな風に暮らしていきたいかを聞き、そのために必要なことを一緒に考える形のほうが、親にとっても受け止めやすいでしょう。親にちゃんと話を聞いてみると、『便利なところに住みたい』『これからはコンパクトな住まいで十分かも』といった希望が出てくることもあるようです」
帰省の際に、ふと親の動作が以前よりもぎこちないことに気づくこともある。「足腰が痛そう」「力が弱くなっているかも」……。そんな小さな気づきから、「この家で暮らし続けられるか」を問い直すのも有効だ。
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【重要なキーワードは「親の意思の確認と尊重」】
