機能性とファッション性を持たせながら、1580円という低価格を可能にしているのは、同社の約1090店舗という販売網によるスケールメリットだ。大量生産によってコストを抑え、機能と価格の両立を図る。
背景には「気軽に試せることが重要」という考えがある。子どもはサングラスを壊したり、なくしたりする可能性が高い。高価な製品では購入のハードルが上がるため、消耗品に近い感覚で気軽に使える価格帯に設定したという。
「試してみようかな」と思える低価格そのものが、普及のための戦略になっている。
最大の壁は「心理と制度」
とはいえ、普及の最大の壁は製品そのものではない。
一つは、親や教職員など大人の心理だ。「子どもにサングラスをかけさせること」への抵抗感は依然として存在する。また、学校側のルールも無視できない。安全面や公平性の観点から、導入に慎重なケースも多い。
しかし、一部では少しずつ変化も見られる。山形県長井市の伊佐沢小学校では、猛暑対策の一環としてサングラスの持ち込みを認めている。水筒や冷感グッズと同様、「暑さ対策アイテム」として位置づけられ始めているのだ。
一方で、子ども自身が着用を嫌がるケースもある。実際に筆者の小学生の子どもに聞いてみると「学校に着けていくにはちょっと嫌かも…」と拒む態度を示した。
これに対してワークマンは、「楽しい」「かわいい」といった感情的価値を組み込むことで装着意欲を促し、生活習慣に繋げようとする狙いがある。
かつて日傘も、日本では一部の女性が使うものという認識だった。しかし今では男性の利用も広がり、日よけ対策として定着しつつある。
同様に、サングラスも「ファッション」から「健康対策」へと位置づけが変わる可能性はある。特に猛暑が常態化するなかで、紫外線対策は今後さらに重要性を増すに違いない。
子どもがサングラスをかけることが当たり前になる日が来るのだろうか。その成否は、社会の認識や制度の変化にかかっている。
ワークマンのキッズサングラスから、「子どもの目を守る」という新しい習慣を提案する試みを感じた。
見過ごされてきた領域が、新たな市場になるのか。学校現場はどう変化していくのか。子どもの目を守るという発想が、今後どこまで社会に広がっていくのかが注目される。
