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アップルと中国の特別な関係はどうなるのか? クックCEOが確立した「中国との向き合い方に関する戦略」とは?

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(写真:ブルームバーグ)
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中国政府にとっても、アップルは重要な存在だ。生産ネットワークを中国に維持することは経済的合理性があるだけでなく、外資企業やインドなど競合する製造拠点に対する強いメッセージとしての政治的意味も持つ。

こうした立場により、アップルは同業他社であれば対応に苦慮したであろう問題の影響を、これまでに何度か免れてきた。2022年の新型コロナ禍によるロックダウンでは、国内の広い地域で人の移動がほぼ停止する中、地元当局は例外的に労働者をバスでフォックスコンの工場に送り込み、iPhoneの生産ラインの稼働を維持した。

クック氏は、中国政府高官との関係構築を通じて、企業外交の手本ともいえる形を確立してきた。中国指導部との会談にとどまらず、閣僚や大手国有企業の幹部、経済成長が著しい地域で台頭する政治家らとも関係を築いてきた。

また、北京で開かれる年次経済フォーラムや、習近平国家主席の母校である清華大学の経営大学院の諮問委員会に参加するなど、政府主導の行事でも重要な役割を果たしてきた。

クック氏が持つハードウエア分野の知見や中国当局者との長年の関係は、供給網の移転を巡る中国政府の強い懸念を和らげる一助となってきたとみられる。アップルは、生産の一部をインドやベトナムなどに移している。昨年は、インドが世界のiPhone生産の約4分の1を占めた。

ターナス氏はクック氏の路線を継続

クック氏はこうした移行が円滑に進むようにしてきたが、その一方で、中国でアップルが享受している地位を維持するため、多くの譲歩も余儀なくされてきた。同社は中国政府の要求に応じるにあたり、異例の柔軟性を示してきた。柔軟に対応する企業としては知られてこなかったアップルにとって、大きな変化といえる。

中国本土のユーザーのiCloudアカウントの運営は、国有系のデータ企業に移管された。現在でも、中国で登録されたアカウントは、Apple TVから一部アプリのダウンロードに至るまで、さまざまなサービスの利用ができないか、制限を受けている。

こうした特別な扱いは、後任CEOとなるジョン・ターナス氏の下でも続く可能性が高い。同氏はクック氏路線の継続を示すため、あらゆる手を尽くしてきた。

クック氏がターナス氏や中国での成功を目指す経営者に示した教訓は、比較的普遍的なものといえるだろう。当局には柔軟に対応し、国民には親しみやすく接することだ。もっとも、史上最も成功した消費者向け製品を扱っていた点も見逃せない。 

著者:Gao Yuan

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