それでも、山本さんは発信を続けている。なぜか。
「SNSって、自分を高めていける場所だと思ってます」
投稿すると、多くの反応がある。
「元気をもらいました」
「私も頑張ります」
投稿への反応は、小さな会話のようなものでもある。
「SNSでは、誰かが見てくれている、発信すると、ちゃんと返ってくる。それがうれしいんですよ」
単なる情報発信の場ではない。夫の死後、一人暮らしの山本さんにとって、人と人がゆるやかにつながる場所でもあるのだ。
「社会とつながり続ける」という生き方
山本さんの投稿の中で、ひときわ再生されている動画がある。133万回再生。
山本さんの母が走っている動画だ。にこやかな表情で、カメラに向かって小走りしてくる。
「当時90歳の母、危ないですよね(笑)。でもそのくらい元気だったんです」
母は80代でコーラスグループの会計を担当し、株式投資を続け、新幹線で一人旅をしていた。父は頼まれてもいないのに公園を掃除するような人だった。二人とも年齢を理由に立ち止まらない姿が、ごく「普通」として山本さんの目の前にあった。
「社会と関わり続けることが、生きる力になると思っているんです」
その思いが、70歳での新しい挑戦につながった。2026年1月、山本さんはミドルシニア世代向けのコミュニティー「SARRANI(サラーニ)」を立ち上げた。「さらに上へ、さらに楽しく、さらに、さらに」。欲張りに生きるという意味を込めた名前だ。SNSを通じて40代から80代までの人たちとつながってきた経験が、「学び合える場所をつくりたい」という思いを育てた。
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【「年齢のイメージに振り回されたくない」】
