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IHIが狙う安全保障時代の衛星データ市場/高い民需のハードル、宇宙ビジネスの現実解は「官需」と「外需」から

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ロケット開発から「衛星ソリューション」事業に乗り出したIHI(撮影:今井康一)

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日本の宇宙開発を長年にわたりハード面から支えてきた重工大手のIHIが、宇宙のデータビジネスという新たな領域をターゲットにしようとしている。2025年10月、同社は合成開口レーダー(SAR)衛星で世界有数の技術を持つフィンランド企業アイサイ(ICEYE)と契約を締結。小型衛星による観測網を構築し、今春データ提供サービスを試験的に開始する。ロケット開発を手がけてきたものづくり企業は、なぜ衛星データという新領域に踏み出すのか。IHI航空・宇宙・防衛事業領域宇宙システム事業推進部の朝倉良章部長に聞いた。

――IHIの宇宙事業の概要と、新たに衛星データ事業へ参入する経緯を教えてください。

これまで当社は、主にハードウェアを中心とした宇宙事業を展開してきた。例えば、H2やH3ロケットのエンジン用ターボポンプや、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同開発した小型ロケット「イプシロンS」などだ。

一方で、宇宙産業は世界的に急速な拡大局面にある。そうした中で、事業領域を広げる必要性に直面してきた。「ものづくり」にとどまらず、「人工衛星から得たデータをどう活用するか」というソリューションまで含めたビジネスを構築する必要がある。それが今回の参入の背景だ。

視覚で捉えられないものまで「可視化」

――「衛星コンステレーション」とはどのような仕組みですか。

衛星はすでに、私たちの生活に欠かせないインフラになっている。気象衛星「ひまわり」、カーナビのGPS、衛星放送、航空機内Wi-Fiなど、社会の裏側を支えている。従来の主流は、高度約3万6000kmの静止軌道に配置される大型衛星だった。1機当たり数百億円から数千億円というコストがかかり、国家主導で限られた数で運用されてきた。

これに対し、低軌道衛星コンステレーションは、高度約500kmに小型衛星を多数配置し、ネットワークとして運用する仕組みだ。低高度を飛ぶため高解像度で地球を観測でき、通信の遅延も小さい。さらに、多数の衛星を組み合わせることで、システム全体の冗長性(壊れにくさ)も高まる。小型衛星は寿命が約5年と短いが、その分、最新技術を反映した衛星へと継続的に更新できる点も大きな利点だ。

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【地球観測でエンジニアリング力を発揮】

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