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低軌道衛星による地球観測が、大きく進化している。
ロケットの打ち上げ価格の低下により、コンステレーションと呼ばれる衛星群の構築が可能になった。従来のカメラ撮影技術を使う光学衛星に加え、地表にマイクロ波を照射することで夜間や悪天候でも観測できるSAR(合成開口レーダー)衛星も広がってきた。
衛星機数の増加に伴い、観測頻度は徐々に向上している。広範囲なエリアを高精細かつ準リアルタイムでモニタリングできる世界が実現しつつある。
日本政府はこうした技術進歩を背景に、2020年に約4兆円だった日本の宇宙経済の市場規模が40年には約15兆円になると予測する。
日本にも小型SAR衛星を手がけるSynspective(シンスペクティブ)やQPS研究所、光学衛星を展開するアクセルスペースホールディングスなどコンステレーション構築を進める企業が存在し、特に防衛・安全保障関連の需要が伸びている。
ただ、質の高い地球観測衛星データは、1枚当たり数十万~百万円規模となる場合もある。そうした中で、民需をどう掘り起こすのか。その広がりは日本の宇宙産業全体の浮沈をも左右する。そこで日本政府は、民需創出に向けた支援に乗り出した。
かみ合うべき3つの歯車
「民需で稼げない宇宙産業は、官需だけで生きていくことになる。それでは成長機会を逃してしまい、海外に勝てない。だが宇宙産業が海外頼みになると、安全保障上のリスクになる。この現実を直視しなければならない」
こう話すのは、経済産業省・宇宙産業課の高濱航課長だ。
地球観測衛星データを利用する民間の事業者が少なければ、衛星事業者の成長ペースに響く。そうなれば、衛星を打ち上げるロケットの需要にも影響する――。
こうした負のサイクルに陥らないためにも「衛星データの利用」「衛星の開発・製造」「ロケット打ち上げ機会」の3つの歯車がうまくかみ合う必要がある。特に川下である「衛星データの利用」の拡大は、サイクルを好循環させるためのカギを握る。
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【準ゼネコンが活用を模索】
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