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海外政府・企業の人民元建て起債が急増、イラン戦争などで安全資産としての需要拡大/揺らぐドル一極体制

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中東情勢が緊迫化するなか、「安全資産」としての元建て債への人気が高まりつつある(写真はイメージ、jazzblues / PIXTA)
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アメリカでは22年3月から金融引き締め局面に入り、政策金利はその後1年間で5%上昇、現在も3.5~3.75%の水準にある。一方中国では消費不振などで金融緩和局面にあり、人民元建ての調達コストは低く抑えられがちだ。

人民元建て起債の急増と歩調を合わせるように、クロスボーダーの元決済額も増えている(CIPSのウェブサイトより)

この点について中国の信用格付け会社である遠東資信評估の通貨・金利調査センター所長である王晨氏らはレポートで、「ドル建て借り入れからオフショア人民元建て借り入れへの移行は、確かに資金調達コストが主な要因であるものの、それだけが唯一の要因ではない。点心債は、かつてのニッチな補完市場から、特定の業種や格付けにおいてドル債の借り換えニーズを受け止める重要な選択肢へと進化した」と指摘する。

中東情勢緊迫化も元建て債には響かず

王晨氏はさらに、近年、米国債利回りの高止まりにより、中国企業が海外でドル建て債券を発行する際の調達コストが上昇し、一部企業が発行を中止または延期している状況も指摘した。中東情勢緊迫化による原油急騰で、世界的にインフレ懸念が高まり、アメリカの長期金利は跳ね上がりやすい地合いになっているのだ。一方、ここへ来て中国国債は相対的に「安全資産」とみなされ資金が流入している。

人民元建て金融資産への選好が強まるにつれ、海外との元決済も急増している。4月上旬には、人民元クロスボーダー決済システム(CIPS)の1日あたりの取引額が1兆元を突破した。

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香港大手銀行のスタンダードチャータードが3月に発表した「流動性の高い人民元:国際ビジネスの新たな勢い」と題するレポートでは、「CIPSは低コストでほぼリアルタイムの決済を可能にするだけでなく、システムの強靭性を高め、特定の決済ルートへの過度な依存度を低減することにこそ価値がある」と評価している。

こうした決済通貨としての人民元の台頭は、国際的な送金ネットワークであるSWIFT(国際銀行間通信協会)を基盤にした国際決済通貨ドルへの一極集中が揺らいでいることの裏返しともいえる。

(財新記者:王石玉)
中国語原文の配信は4月10日

※本記事は原文を要約し、日本の読者向けに適宜補足したものです。

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