佐賀大学の案内でも、学びの特徴として、学内の6学部を横断しながら多角的な知識や着眼点を育むこと、そしてコスメティック産業が盛んな佐賀だからこそ実現できる産学官連携が挙げられています。
想定される進路も、化粧品メーカーや原料メーカーだけではなく、スタートアップ、自治体の産業振興部門、食料品・飲料メーカーなど多岐にわたります。こうした学びは、4年制の国公立大学だからこそできることだとも考えられます。「化粧品業界に行く人を養成する大学なら、専門学校でいいんじゃないの?」と考える人もいると思いますが、実はそういうわけではないわけです。
いまの受験生は、昔よりもずっと、「ひとつの職業に直結するか」だけではなく、「そこからどこまで広がっていけるか」を見ています。その感覚に、この学環はうまく応えているのだと思います。
分野横断的な教育を叶える「学環」という仕組み
そして、この広がりを支えているのが「学環」という仕組みです。学環は、従来の学部とは少し異なり、既存の学内資源を生かしながら分野横断的な教育課程を編成しやすい仕組みで、文部科学省もこのあり方を推奨しています。
社会の課題は、もはや1つの専門だけでは解けなくなってきています。化粧品ひとつを考えても、成分の化学、人体への影響、農業由来の原料、商品の見せ方、産業としての広がりなど、複数の視点が必要です。だからこそ、広く学べる「学環」というかたちは、魅力を持っているのだと言えます。
こうした動きは1つの大学だけの話ではありません。27年度は、公私立の大学・短大で延べ49校の設置計画などが諮問され、そのうち学部設置は19校にのぼると報じられています。
学びのかたちが固定されたものではなく、社会に応じて更新されていくのは、とても健全なことです。いま大学は、「何を専門にするか」だけでなく、「どう越境して学ぶか」を問われる時代に入っています。そんな中で、佐賀大学のコスメティックサイエンス学環は、新しい大学教育のひとつの象徴のようにも見えます。こうした新しい学びの空間がこれからもっと増えていくのは、やはりとてもいいことだと思います。

