そんな彼女が白髪を隠さずにテレビに出た。この出来事がなぜここまで賞賛されたのかを考えると、単に「美人だから」ではないことが見えてくる。
心理学では、卓越したスキルや実績を持つ人物への賞賛は「感嘆(admiration)」と呼ばれる特別な感情として研究されている。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校のアルゴー教授とバージニア大学のハイト氏は、他者の優れた達成を目の当たりにしたときに生じるこの感情が、単なる「好き」とは異なる「畏敬と憧れの混合」であることを実験的に示した(※1)。
天海祐希への反応はまさにこれだ。圧倒的な実績を持つ大女優が老いを「ありのまま」に受け入れる姿は、「強さと余裕の象徴」として視聴者の心を動かした。筆者はこれを「畏敬崇拝型の引き寄せ」と呼んでいる。
だからこそ、「カッコいい」「潔い」という言葉が並んだのだ。
「でも私には無理」一般女性が感じるリアルな壁
ところが現実はどうか。
職場で白髪が目立ち始めた50代が、髪を染めずにいたとする。称賛されるだろうか。多くの場合、そうはならない。それどころか「清潔感がない」「もう少し気を使えばいいのに」といった視線を受けることも多いのが現実だ。
ヤフコメには、天海の話題と並行して、こんなコメントも多数流れていた。
《私は40半ばでもう半分近く白髪がある上にのっぺり日本顔なので染めないとものすごく老けて見られます》
《芸能人のようにメイクさんやスタイリストなんていないし、高級なクリームも買えませんし。「これが私!」と言い切れるほど恵まれたお顔でもないので、白髪隠しに毎月リタッチに行ってます》
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【「余裕ある美しさ」と「手抜き」になる、その差は?】
