実際の映像はというと、そこまで踏み込んでいません。暴力や搾取の構造は描かれるものの、視覚的な残酷さは一歩手前で止められています。韓国ドラマに見慣れていると、どこか真面目に整えすぎているようにも感じます。正直に言えば、少し物足りなさも残ります。
とはいえ、これは意図的な設計でもあるのでしょう。公式のプロダクションノートによると、演出した土井裕泰(TBS)は「この作品は最終的には“人間ドラマ”だと捉えています。闇に落ちてしまった人間の物語として、少しトーンは暗めにしていますが、Netflix作品だからといって過激な方向に振り切るのではなく、あくまで従来の表現の延長線上で、どこまで世界に届く作品にできるかを試したいと思いました」と話しています。
つまり、この作品の軸は別のところにあります。ショッキングな映像で引っ張るのではなく、キャラクター同士の関係で物語を動かしていく作りです。柳楽が演じる悪徳弁護士の九条、エリートでありながら九条のもとで働く松村北斗の烏丸、そして町田の壬生。それぞれ立ち位置は違いながらも、同じグレーな領域に立っています。
善悪でぶった斬るのではなく、感情の揺れに没入させる。そんな狙いがあるのだと思います。これまでの日本のドラマが積み重ねてきた文法にも近いところがあります。社会問題を扱いながらも、最後は人間関係に収束していく。どこか見慣れた手触りがあるのは、そのためかもしれません。
手放しでは喜べないランキング
日本では配信初週から週間ランキングで1位を獲得し、2週目もそのまま独走。一方、グローバルランキングでは初動7位と好調なスタートを切り、2週目には4位まで上昇。台湾や香港でもランクインするなど、一定の広がりを見せています。
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【日本のドラマ作りの文法】
